みんなのコードは、栃木県那須町との2021年度の取り組みをまとめた報告書を、6月23日に発表した。同報告書では、教育課程特例校の仕組みを活用した特色ある教科づくりを後押しできるよう、那須町の取り組みや授業事例をわかりやすくまとめている。
教育課程特例校制度は、学校または地域の実態に照らして、より効果的な教育を実施するための特別な教育課程を編成することを認める制度。那須町では、2019年度から将来の地域の発展を担う人材の確保を目指す一環として、同制度の指定のもとプログラミング・人間関係・防災教育を学ぶ教科「NAiSU（ナイス）タイム」を全町立小中学校に設置し、プログラミング教育にも積極的に取り組んできた。
みんなのコードと那須町との取り組みは、那須町ならではの地域の課題を題材にして、プログラミングを含むテクノロジー教育に各学校が取り組めるよう、2カ年にわたって推進連携事業を実施するものとなっている。
2021年度は、プログラミング教育推進校の指定を受けた東陽小学校、那須中学校を重点的に支援。前期は教員向け研修会を実施し、後期から授業支援に携わった。
東陽小学校では、とりわけ4年生と5年生の授業において学年を横断した実践を行い、5年生はScratchを使ってタイピングゲームを作り、4年生は5年生が作ったタイピングゲームをもとに問題を見つけ、機能を追加する作業を実施している。
那須中学校では、生徒が教員から教わるだけでなく、教室内を自由に移動してクラスメイトと教え合いながら学習を進めていった。あわせて、苦手意識を持っている生徒を集めた講義形式の指導も行うなど、それぞれに合ったプログラミングの授業を展開している。
生徒に対して授業後に実施したアンケートでは、コンピュータの大切さについては95.1％が、楽しさについては90.2％が肯定的な考えを持っていることが明らかになった。一方で、コンピュータを使って身の回りの問題を課題解決ができると認識している生徒は41.5％に留まっており、2022年度は基礎的な内容だけではなくアプリケーションの作成にも挑戦し、テクノロジーを使って身近な問題を解決できる授業を実践していく。
2022年度は、町全体へ取り組みを広げられるよう、実践事例の周知と年間指導計画に沿った計画的な指導を目指す。また、「NAiSUタイム」のその他の柱である防災プログラム、人間関係プログラムや地域学習とも関連づけた課題を扱うことによって、探究的な学習をサポートしていく。
小学校では、教員が小さな課題解決学習の過程を体験し、自らの授業に取り入れていけるような研修を進める。あわせて、授業準備を効率的に行えるように、これまで実践した授業の構成をクラウド上でテンプレート化し、簡単にアレンジして実践できる環境を整える。
中学校では、那須中学校での取り組みを継続しつつ、外部からのサポートなしでも教員が授業を進められるようサポートするとともに、近隣中学校でも同様の実践ができるよう支援していく。
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