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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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マインクラフトを活用した高校でのPBL

マインクラフト×PBLで、どのような力が身につくのか? 高校での授業実践を紹介!

マインクラフトを活用した高校でのPBL 第2回


 2022年4月から、高等学校では新学習指導要領がスタートしました。情報科も「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」に科目名と内容が変わり、その中でプログラミングをどのように指導すればよいのかお悩みの先生も多くいらっしゃると思います。また、学びの中に探究活動を取り入れることも注目されています。これまでの知識偏重型の授業から、真の意味においての深い学びへとつながることが期待されているのです。本連載では3回にわたり、私立学校の情報科教員で「マイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)」でもある私が行った「マインクラフト」を活用し、SDGsに関連したPBL(問題解決型学習)の授業実践を紹介します。第2回では実際に行った授業の流れとその成果をお伝えします。

 本記事の著者である杉村先生は、2022年4月に中村中学校・高等学校へ異動されています。ここでは、前任校である大森学園高等学校で2021年度に行った実践を紹介しています。(編集部)

マインクラフトを活用したPBLの流れ

 前回の記事で紹介した通り、情報科の選択授業でプログラミングを実施するにあたって、「マインクラフト」を導入することを決定しました。結論からお伝えすると、本授業を通して、生徒は最終的にこれまで培ってきた教科の知識・ICT活用能力を使い、現実社会に存在する問題に対して、チームで協力して考え、解決策や代替案を出すという経験を得ることができました。その結果、教科書通りの言葉をインプット・アウトプットした知識偏重型ではなく、知識をもとに新しく何かをクリエイトして課題解決できるように成長したのです。

 多くの方がイメージされる通り、マインクラフトはゲームの要素がとても強い教材です。授業で取り入れようとしても、周囲から「それはゲームですよ」と、ネガティブな反応があることを誰もが想定すると思います。そうならないため、私は授業設計において「ただマインクラフトで遊ぶ」ような授業を避けるべく、以下のように進めていきました。

(1)チーム決め

 本授業は選択制で73人の生徒が履修しており、1チームの人数は4~6人に設定しました。

あるチームの様子
あるチームの様子

(2)何のための建築物か考える

 生徒は、ただ建築物をつくるだけではなく「何の問題を解決するためにつくるのか」を決めます。その後、チームで「問題解決シート」を記入して、教員(私)の検印をもらいます。

 注意すべき点として「実現可能な提案・代替案にする」ことを指示しました。

各チームでの話し合い
各チームでの話し合い

(3)ラフスケッチ

 それぞれのチームが、決定した建築物のラフスケッチを描きます。いきなり設計図に取りかかるのではなく、生徒それぞれが持っているアイデアや考えをチーム内で共有しました。

生徒によるラフスケッチ
生徒によるラフスケッチ

(4)設計図の作製

 ラフスケッチをもとに本格的に設計図を作製します。これはラフスケッチを丁寧に描くことではなく、「1ブロック=1メートル」として、当初イメージしていた建築物と、実際にマインクラフト上でつくる建物の幅にズレがないか配慮しつつ描くということです。Excelで図面を作成した生徒もいました。

Excelで作成した図面
Excelで作成した図面

(5)マインクラフトの基本操作を学ぶ

 以下の流れで基本操作を学びました。

  1. Hour of Code」でマインクラフトの操作の練習をする
  2. 実際のワールドで効率よく建築するため「Microsoft MakeCode」を体験(例:「ロ」の字をつくるためにはどうするか?など)
  3. マインクラフト操作環境の説明
マインクラフトの基本操作を学ぶ生徒
マインクラフトの基本操作を学ぶ生徒

(6)マインクラフト上で製作

 ひとつのチームの中で「マインクラフトで建築」「発表用スライド」「調査」など、役割を決めて作業を行いました。

発表用スライドを作成する生徒
発表用スライドを作成する生徒

(7)学習発表会

 大田区役所の職員を招き、プレゼンテーションを行いました。その時の模様は次回詳しく紹介します。

発表会の様子
発表会の様子

(8)フィードバック

 今回はフィードバックのため、教育効果を定量的に評価するツール「Ai GROW」を導入しました。私は授業を進める中でフィードバックの方法を模索しており、最後の授業でただ生徒に感想を書かせたとしても、あまり効果的ではないと考えていました。何か適したツールやサービスはないか探していたところAi GROWを知り、導入に至りました。

Ai GROWを活用したフィードバック
Ai GROWを活用したフィードバック

 具体的には「自分は今回の授業を通してどのような力がついたのか?」「他者から見て自分はどのような力があるのか」を生徒自身が考えることで、自分を客観的に知ることができるというものです。Ai GROWの活用によってそのようなフィードバックが実現し、真の意味でのフィードバックになると考えました。

次のページ
あくまで課題解決のためのマインクラフトであるということ

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この記事の著者

杉村 譲二(中村中学校・高等学校教諭)(スギムラ ジョウジ)

 中村中学校・高等学校 技術科・情報科教諭。「マイクロソフト認定教育イノベーター」「Apple Teacher」「Apple Teacher Swift Playgrounds」「ロイロ認定ティーチャー」「MetaMoJi ClassRoom認定先生」等。大学卒業後、各私立学校で情報科教員として従事...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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