大学の健全な経営や教育を実現すべく取り組んだ、さまざまなDX施策
──大学としてDXを積極的に推進するに至った経緯として、教育機関や組織としてどのような課題や背景があったのでしょうか。
共立女子学園は、設立より「女性の自立と自活」を建学の精神として掲げ、女子大学として高等教育に取り組んできました。その中で、キーワードの一つとして重視してきたのが「リーダーシップ」です。時代が大きく変わる中で、「女性の自立と自活」を今の時代に当てはめると、どのようなマインドやスキル、知識や経験などが必要なのか、大学としてどのような教育が社会から求められているのか、改めて捉え直す中でリーダーシップ教育の重要性を再認識することとなりました。
女性社長の輩出数が女子大の中で2番目であるなど、今までもリーダーシップを持った卒業生を輩出してきた自負はありますが、必ずしも権限や役職を持った人だけが発揮するものではないと考えています。近年では、サーヴァント型など、リーダーシップのあり方についてフォーカスされていますが、年齢の上下や性別などに関わらず、さまざまな立場にあって自分の強みを活かして、自立的にチームや組織における目標達成に貢献していくことが本学が考えるリーダーシップです。
例えば、当校は34人の先覚者が発起人となっていますが、先頭に立って動く人もいれば、協力し合う場を創り出す人もいて、さまざまなリーダーシップが発揮され、連携・協力し合ったことでしょう。その中で共通しているのは「他者と協力し合いながら物事を進めていく力」です。リーダーシップを育むことは、共立女子学園の教育の根幹でありながら、新たな時代に向けた教育機関として社会からの評価の軸にもなりうると考えています。
もちろん「リーダーシップ」についての評価は難しく、現在は学生の自己評価やPROGといったジェネリック・スキルを測定するテストなどを用いていますが、KGIや教育手法などについては今後も研究が必要です。また、変化の激しい時代にあって、社会に求められるリーダーシップのあり方も変化していくことは間違いありません。そうした中で、例えばアクティブラーニングやPBL(Project Based Learning)なども含め、効果が高いと考えうる教育手法などを積極的に取り入れ、成果をKPIとして検証し、エビデンスとしてフィードバックしていく必要があります。当然、社会に対してアタッチできているか、検証も必要でしょう。
そうした、いわばPDCA的なサイクルは、企業ではごく当たり前になされているように、大学としても健全な経営や教育に不可欠なものであり、そのための手段としてITによるデータ活用が有効だと考えられています。さらにそのためには、校務の効率化や学生への価値提供なども含めたDXが必要と考え、さまざまな施策に取り組んできました。