「伝統」と「革新」を合言葉にした西日本最古の私立小
大阪城のほど近くにある追手門学院小学校は、1888年に創立され、西日本最古の私立小学校として長い歴史を持つ。2021年12月時点で878名の児童が在籍しており、レゴのロボットプログラミングを活用した授業やクラブ活動など、ICT活用に長けた学校というイメージも強い。
竹下副校長は「井上恵二校長のもと、『伝統と革新』を合言葉に『国際的に活躍する指導的人材を育成する』ことを教育方針にしています」と話す。
同校がICT活用をスタートしたのは1993年。40台のデスクトップPCを導入したことが始まりだったという。「これからの子どもたちにとって必要なICTと英語教育について早期から着目し、当初はタイピングをはじめとする、コンピューターの基本的な操作をメインに行っていました」と、竹下副校長は当時を振り返る。
現在、同校でICT担当を務めるのは今年で勤続18年目の神田教諭だ。メディア教育部部長とメディアプログラミング教育科主任、3年生の担任を兼任する神田教諭は、ハードウェアから教材まで、ICT関連の責任者として10年以上にわたり取り組んでいる。
「現在は、小学校では珍しい『情報』の時間を週に1回授業として設け、低学年ではまずノートPCの閉じ方からマウスの使い方、タイピングまでを体験しています。私が担任をしている3年生のクラスでは、クラスの3分の2以上の子どもたちが遜色なくタイピングすることができます」と話す。
同校では、全学年がMicrosoftの端末「Surface Go」を使っており、2年生までは学校から貸与される1人1台の端末を使用し、3年生からは各家庭で購入したものを使っている。1~2年生では貸与された端末を使用する理由について、神田教諭は「端末を、より効率的に活用する方法を考えた結果」と話す。
「6年間、同じ端末を使い続けるのは機能面や保証の面からも難しく、在学中に複数回購入していただくことはご家庭にとって負担となります。また、2年生までは小学校での基本となる『読む』『書く』『計算する』をしっかりと行うことを大事にしているため、学校の端末を貸し出して基本的な使い方マスターした上で、3年生から自分の端末を持ってもらうようにしています」(神田教諭)
iPadの試験導入を経て、学校の実態に合ったSurface Goを選定
現在はWindows環境でICT活用を行っているが、Surface Goを導入する以前には「iPad mini」を導入し、使っていた時期もあったという。「Surface Goを導入する以前は、ほかの先生から授業支援クラウド『ロイロノート・スクール』を使ってみたいとの要望があったため[※1]、一時期iPad miniを40台導入して試験的に使っていました」と、神田教諭はその経緯を話す。
その後、OSをWindowsに変更した理由として「通常であれば、そのままiPadをすべての児童に導入するところですが、校務をはじめとした教員の仕事の形態、さらには子どもたちが将来どのようにPCを活用していくか考えた結果、私たちはWindowsのほうがいいと判断しました。私が大きく舵を変えたことに対して、管理職はきちんと話を聞いてくれて、『そのような理由があるなら、変更しよう』と賛同していただき、ICT担当としてのやりがいを感じました」と、当時を振り返った。
- [※1]当時、ロイロノート・スクールはiOS版アプリを中心に提供されていた。