端末の活用が進むにつれて起きること
2学期に入り、GIGAスクール構想によって整備された端末の活用も進んでいるのではないでしょうか。活用が進むにつれ、新たな問題も起きてしまいます。次のような質問をいただきました。
端末を使ったトラブルについて、大人はどう介入すればいいでしょうか。また、そういったトラブルを未然に防ぐにはどうすればいいでしょうか。
今回は「端末を使ったトラブル」について、考えてみましょう。
高校の生徒指導を参考に
端末を使ったトラブルには、いろいろなものがあると思います。例をいくつか挙げてみます。
- 共同編集系のアプリで、クラスメイトがつくった部分を消してしまう。
- AirDropなどの機能で、写真などを勝手に送ってしまう。
- Microsoft Teamsなどの協働学習アプリで、不必要なチャットを使ってしまう。
- 先生が把握できないアプリなどで、生徒同士がやりとりをしてしまう。
これら以外にも、たくさんのトラブルが起きていると聞きます。「トラブルや失敗から、生徒も教員も学んでいきましょう」ということを第1回の記事でも紹介しました。では実際に、教員はトラブルへどのように介入すればいいのでしょうか。
ここで参考となるのは、高等学校での生徒指導の事例です。多くの高校生は自分のスマートフォンを持っています。そして、スマートフォンによるSNSなどでのトラブルも発生します。筆者が以前勤務していた定時制高校でもさまざまなトラブルがありました。例えば次のようなものです。
- TwitterやInstagramで誰かを誹謗するような内容や不適切な画像を掲載してしまう。
- LINEのやりとりで生徒同士の関係性が崩れてしまう。
- スマートフォンのゲームに課金し過ぎて支払いができなくなってしまう。
これらのトラブルは、どの高校でも増えていると聞きました。特にSNSのトラブルについては、学校で指導すべきかどうか、よく話題になります。私の前任校では、SNSに起因した生徒同士のトラブルが多度々発生していました。そのため、次のように対応していました。
- インターネット上でのトラブル等について、事前に生徒たちに指導を行う。(未然防止)
- 企業が提供するネットパトロールのサービスなどを活用し、トラブルを早く発見できるようにする。(早期発見)
- トラブルが起きてしまったときは、組織的にすぐ対応する。(早期対応)
これらは、あくまで一例です。いじめの対応でも「未然防止」「早期発見」「早期対応」の3つが大事だと言われています。端末を使ったトラブルへ介入する際もこの3つのポイントが重要となるでしょう。
一方で、SNSや端末を使ったトラブルは「早期発見」が難しいとされています。インターネット上での生徒同士のやりとりを教員が直接見ることはできず、すぐに気づくことは非常に難しいからです。そのため早期発見と並行して、未然防止に力を注ぐ必要があると私は考えています。
では、そのためにできることを具体的に考えていきましょう。