学習者にコーチングを行う際のポイント
まず、コーチング教育を実践する場合にどのような流れで行うべきか、そしてどのような点に気をつけるべきかについて解説します。
前編で説明した通り、コーチングは週1回~月1回の面談が基本となります。面談の回数に関しては「生徒がどの程度勉強に悩んでいるか」「生徒がどのぐらい忙しいか」などをもとに決定しましょう。
次に、面談で行うべきこととそのポイントです。
(1)これまでの学習の振り返り
前回の面談以降の学習について振り返りを行います。計画を立て、それを実行する中で出てきた問題点などを確認するようにしましょう。
計画通りうまく行かなかった場合、生徒自身が具体的に何が問題で計画通り進まなかったかを理解していない場合も多いようです。そのようなときは、コーチから生徒に何回も質問を投げかけることによって問題点をはっきりさせることを意識しましょう。
(2)これまでの学習についてのフィードバック
「計画通り学習を行うことができたか」ということ以外にも、学習の悩みが発生することは多いものです。例えば「計画通りに参考書は進めているけれど、内容が身についているかが不安だ」といった類いの悩みです。
試験の結果や学習時間のデータを見たり、生徒の勉強を行った上での感触を聞いたりすることによって、生徒がこのような悩みを持っていないかを確認しましょう。本人は軽く違和感程度に思っていることが、質問を重ねるうちに学習方法の根本的な問題によるものだということがわかることもあるため、生徒から悩みを引き出すことを意識しましょう。
出てきた悩みについては、その根本的な原因が見つかれば解決策が自然と出てくることが多いものです。その悩みの根本的な原因を質問によって洗い出し、生徒自身が解決策を導き出す手助けを行えるといいでしょう。このような生徒の学習の問題に気づくためにも、生徒の学習に関するデータは用意しておきたいところです。
(3)今後の学習計画を立てる
(1)(2)で出た課題を解決する形で、どの参考書や問題集を使って、どのように学習を行うかを決定します。
このとき、表などに計画と教材の具体的な使い方をまとめられるといいでしょう。表を作る際には、半年や1年単位での学習の大まかな計画と、1週間で何を行うのかという短期での計画を示すものの両方を用意することで、自分が長期的に見たときにどこに位置付けられる勉強をしているかを理解できるようになります。
面談を行うときの全体的な意識として「生徒から生徒自身が納得できる答えを引き出す」ことが大事です。すぐにアドバイスを行うのではなく、悩みに対して適切な質問を行う中で、生徒が自分で必要な学習に「気づく」形がとれるといいでしょう。
これにより生徒は納得しながら学習ができる上、ゆくゆくは自分自身の力で学習の計画を立てられるようになります。