NPO法人eboardは、オンライン学習の機会確保が困難となっているろう・難聴児や、外国につながる子を主な対象として作られた映像授業字幕「やさしい字幕」について、2021年夏に公開することを、5月14日に発表した。また4月より、同字幕の効果的な活用に向け、ろう学校や学習支援NPOなどでの実証事業をスタートしている。
eboardは、全国的な休校が続いた2020年春の新型コロナウイルス感染拡大時、ICT教材「eboard」を全国の児童生徒100万人以上にとどけた。一方で、聴覚障がいや日本語支援が必要な子どもに配慮されたオンライン教材が社会的に不足していることから要望が相次ぎ、同年秋には団体が保有する小学校高学年と中学校の映像授業約1600本に「やさしい字幕」をつけるプロジェクトをスタートさせた。
「やさしい字幕」は、字幕の表示量の調整、言葉や文章構造の簡素化を行うことで、学習のハードルが下がるよう編集された字幕。「やさしい字幕」化により、自動翻訳で得られる外国語字幕の精度も上がるため、外国につながる子の学習支援での活用も期待されている。
字幕の作成には、これまでに16の企業・団体ボランティア、個人のボランティアを合わせ、のべ1000名を超える人が協力している。2021年夏には、約1600本分の「やさしい字幕」を公開できる予定で、義務教育課程の学習内容を広く取り扱った動画教材としては、国内で唯一、字幕による機会保障を行った教材が誕生する。
4月からスタートした実証事業では、東京都立大塚ろう学校や柏市教育委員会「きこえの教室」をはじめとする、ろう学校や学習支援NPOなどが協力。さらにセールスフォース・ドットコムからの新型コロナウイルス関連の緊急支援の寄付を受け、2022年以降、類する教育・学習支援現場への展開を目標に進められている。
1600本の「やさしい字幕」の公開後は、対象となる学年を広げ、小学校低学年の映像授業についても、字幕の追加を進めていく。現在、在宅・オンラインで取り組む企業・団体ボランティア計300名の募集を行っている。詳細・問い合わせは同法人のWebサイトまたはメールで受け付けている。
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