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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZine読者イベントレポート

自律型学習者の育成において、ICTはどのような役割を果たすのか?「教えない授業」の山本崇雄教諭が語る

第2回 EdTezhZineオンラインセミナー「自律型学習者を育てるICTの可能性」レポート


 「EdTechZine」が開催するオンラインセミナーでは、教育の最前線で活躍されているゲストをお招きし、日々の教育実践のヒントとなる内容を、講演と質疑応答を通してお伝えしていく。4月10日に開催した第2回のセミナーでは、「自律型学習者を育てるICTの可能性」として、新渡戸文化中学・高等学校 統括校長補佐、横浜創英中学校・高等学校の教育アドバイザーなどを務める山本崇雄教諭にご登壇いただいた。山本教諭が実践している、生徒自身が考え学んでいく「自律型学習者」とは? ICT活用のコツは? 視聴者からの質問と共に「自律型学習者」を育てる教育カリキュラムでのICT活用法を紹介していく。

「教えない」ことで自律的に学ぶようになる

  「きっかけは、2011年の東日本大震災だった」――セミナーの冒頭、山本教諭は自身の教育に対する考え方が大きく変えたエピソードを語った。

新渡戸文化中学・高等学校 統括校長補佐/横浜創英中学校・高等学校 教育アドバイザー 山本崇雄教諭
新渡戸文化中学・高等学校 統括校長補佐/横浜創英中学校・高等学校 教育アドバイザー 山本崇雄教諭

 山本教諭は震災後、仙台の海岸線沿いを歩きながら次のように考えた。「人間はゼロからスタートしなければいけないときがある。大人ができることは、それほど多くない。大人がいなくても学び続ける生徒を育てなければいけない」。この経験をもとに「教えない」スタイルの教育を始めたという。

 『なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか』『学校に頼らなければ学力は伸びる』といった書籍を執筆する山本教諭だが、「決して教えることや学校を否定しているわけではない」と話す。教員が「教えない」選択肢を身につけることで「教える」という行為の深みが増し、「教えない」ことで生まれる生徒の自律的な学びを期待しているという。さらに「学校やサービスに依存するのではなく、それらがなくても学び続けられる生徒を育てたい。コロナ禍でも同様に、生徒がより良い学び方を手に入れて、自律して学び続ける『ライフロングラーナー』になっていくことが大事」と思いを伝えた。

「自律型学習者」を育てる新渡戸文化学園の目標

 では、自律型学習者を育成するため、必要なことは何か? 山本教諭はまず「学校は何のためにあるか」と問いかける。

 その上で「気候変動やAIといったIT技術の進歩、価値観の多様化により、社会が大きく変わりつつある。しかし学校は変わらず、時代の変化に追いついていないことが問題となっている」と解説。「学校が未来の社会をつくる」「今の社会の変化を学校に取り入れる」という2つのベクトルの必要性を説いた。

 そして、日本財団による2019年度の18歳意識調査の結果を紹介し、「日本は『自分が責任ある社会の一員である』という回答の割合が少ない。『自分たちが社会をつくっていく』といった意識に変えていきたい」と語り、「個人的にも社会的にも幸せに生きるための教育を実現することは、すべての国で、教員だけでなくすべての大人が目指さなくてはいけない」と訴えた。

 これらを踏まえ、山本教諭は自身がデザインする新渡戸文化中学・高等学校の教育カリキュラムを紹介。同校は「Happiness Creator(ハピネスクリエイター)」を教育シンボルとし、すべての教育活動において「自分が幸せになるだけでなく、幸せをつくりだす」人材を育てることを目指している。

 その上で「より良い世界、幸せな世界をつくるためには、まずは自分でより良い選択ができなければいけない」として、自律型学習者の育成を目標としている。山本教諭は、自律型学習者に必要な要素である「自分をコントロールする」「他者とつながる」「新しい価値を創造する」の3点を紹介した。

同校が目標としている「自律型学習者」の3つのコンピテンシー
同校が目標としている「自律型学習者」の3つのコンピテンシー

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ICTは「なりたい自分になる」ための強力なツール

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、教育におけるデジタル活用を中心に、全国の学校を取材・執筆を行っている。渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足しプログラミング体験教室などを開催したほか、シニア向けサポートを行う渋谷区デジタル活用支援員としても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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