SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

先進事例紹介(クリエイティブラーニング)

低スペックPCは子どものクリエイティブな学びを妨げる?――三鷹中等教育学校に設置された「メディアラボ」が目指すもの


 アドビとインテルの共同による「メディアラボ」が、3月1日に東京都三鷹市にある都立三鷹中等教育学校内に設置された。「クリエイター向け」とされるハイスペックなPCを教育現場に置くことで、どのような効果が期待されるのか。メディアラボの運営に携わる教諭と、アドビ、インテルの担当者に話を聞いた。

 生徒1人に1台のデジタルデバイスを支給する「GIGAスクール構想」が文部科学省の主導で進められている今、教育現場において、生徒が自分専用のPCやタブレットを持ち、学習に活用できる環境を作っていくことが必須であることは、もはや論をまたない。しかし、生徒たちが日常的に触れるデバイス、つまりコンピューターが、どの程度の「スペック」(性能や機能)を備えることが望ましいのかについて、教育的効果も踏まえながら議論されている場は、まだほとんどないのではないだろうか。

 そうした議論の端緒となりそうな取り組みが、2021年3月1日に、公立の中高一貫校である東京都立三鷹中等教育学校でスタートした。同校では、コンピューター教室内に、クリエイター向けのハイスペックなコンピューター環境を備えた「メディアラボ」を設置。生徒に自由に使用させることで、クリエイティビティやデジタルスキルの育成に、どのような影響があるのかについての実証研究を進めている。この「メディアラボ」の開設は、アドビとインテルが共同で行っており、それぞれにハードウェアやソフトウェアの提供、カリキュラム面でのサポートを担当している。

メディアラボの様子
メディアラボの様子

ICTパイロット校として感じた「GIGAスクール後」の課題

 三鷹中等教育学校の「メディアラボ」に導入されたPCは、CPUにインテルの第10世代Core i7、32Gバイトのメモリ、エヌビディアのグラフィックボードを搭載した、かなりスペックの高い構成だ(詳細については表を参照)。同校では、メディアラボの開設と合わせて、生徒に「Adobe Creative Cloud」(Adobe CC)のユーザー指定ライセンスを配布しており、Adobe CCに含まれるプロ仕様のフォトレタッチソフト、動画編集ソフトなどを全生徒が利用できる。これらのアプリケーションも、十分快適に動作する環境である。

東京都立三鷹中等教育学校「メディアラボ」のハードウェア構成
PC マウスコンピュータ製「DAIV Z7」×8台
(Intel Core i7-10700プロセッサ、32Gバイトメモリ、SSD 512GB、HDD 2TB、NVIDIA GeForce 2060 super、10GBイーサネット)
モニタ iiyama製 31.5インチワイド4K液晶モニタ×10台
ネットワークストレージ QNAP NAS 50TB(RAID5)
ネットワークスイッチ NetGear 10Gbps LAN Switch(12ポート)

 「メディアラボ」の取り組みを、三鷹中等教育学校で中心的な立場で推進している能城茂雄主幹教諭は「赴任以来、生徒がいつでも自由に、道具としてコンピューターを使えるような環境づくりを心がけてきた。その中で、生徒の創造性、『こんなものを作りたい』という自発的な欲求に、学校で利用できるコンピューターのスペックが制限をかけているように感じていた」と話す。

 三鷹中等教育学校は、平成28年度より東京都教育委員会による「ICTパイロット校」に指定されており、生徒1人1台の情報端末導入や、特定の授業に限定しない教育活動全般でのIT活用を積極的に展開してきた。現在、全国で進められている「GIGAスクール」のコンセプトを、すでに5年近くにわたって実践してきたわけだ。

 「三鷹中等教育学校では、GIGAスクールの後に見えてくる課題がすでに見えている。生徒たちがコンピューターを道具として使いこなせるようになればなるほど、単なるオフィスアプリケーションの操作や、Webブラウザでの調べものだけではなく、よりいろいろなことにチャレンジしたいという気持ちが出てくる。そうした要求や希望に、国や自治体が『標準仕様』とするスペックのデバイスでは、十分に応えられない」(能城氏)

東京都立三鷹中等教育学校主幹教諭 能城茂雄氏

 東京都立三鷹中等教育学校主幹教諭。奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程情報システム学専攻修了。

 令和2年度視聴覚教育・情報教育功労者として文部科学大臣表彰、文部科学省学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者(共通教科情報)文部科学省高等学校情報科「情報I」「情報II」教員研修用教材検討委員、同WG委員。

 国際基督教大学の非常勤講師も務める。

 Adobe Education Leaders(AEL)、マイクロソフト認定教育イノベーター。

次のページ
「本物」に触れられる環境が生徒の創造的な活動を促進する

関連リンク

この記事は参考になりましたか?

先進事例紹介(クリエイティブラーニング)連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

柴田 克己(シバタ カツミ)

フリーのライター・編集者。1995年に「PC WEEK日本版」の編集記者としてIT業界入り。以後、インターネット情報誌、ゲーム誌、ビジネス誌、ZDNet Japan、CNET Japanといったウェブメディアなどの製作に携わり、現在に至る。 現在、プログラミングは趣味レベルでたしなむ。最近書いてい...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


この記事をシェア

EdTechZine(エドテックジン)
https://edtechzine.jp/article/detail/5511 2021/04/21 11:18

おすすめ

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング

イベント

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング