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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZineオンラインセミナー

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授業を撮影して動画をアップ! 生徒の学習を支える動画活用の始め方

コロナ禍で授業動画をどう活用できる? 普段から授業を撮影・アップしていたからこそわかったこと

 四條畷学園高等学校で地歴公民科を担当する小森一平先生は、3年ほど前から毎授業の動画撮影・生徒への共有を始め、現在までに3748本もの動画をアップしてきました。オンライン学習が新しい学習の手段として注目を浴びる中、どんな方法があるのか模索している教育現場も多いのではないでしょうか。本連載では、動画活用を検討している先生に向けて、小森先生がご自身のノウハウを紹介してきました。最終回となる今回は、2020年の休校期間中の活用法を解説します。また、Googleドライブにアップした授業動画を校外でも広く活用してもらうための今後の展望についても紹介しています。(編集部)

 第5回は、コロナ禍による休校期間中(2020年3~5月)の生徒たちの活用状況についてお話しします。そのうえで今後の展望をお伝えし、この連載の締めくくりとさせていただきます。それではどうぞよろしくお願いいたします。

連載の流れ

休校期間中の活用について

 2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、本校では春期講習が行えなくなりました。しかし第4回の記事でお伝えしたように、私の授業を受けている生徒たちは、それまでの夏・冬休みに前年度にアップした授業動画を視聴して新しい範囲の学習を進める経験をしていました。これにより、生徒たちは春期講習の学習もそれと同じ形で自宅において進めることができました。

 そして4月に入り、政府から緊急事態宣言が出されると、本校では教務部長が数回に渡って研修を開き、すべての教員がGoogle Classroomを使えるようになりました。こうして本校は4月13日からコースごとにその特性に合わせてオンライン授業や課題を配信し始めました。私が所属している6年一貫コースでは、時間割通りに授業や課題を配信する形をとりましたが、ここでも私はそれまでと変わらず、生徒たちがGoogleドライブから新しい単元の動画を視聴して学習を進めるやり方を継続しました。

 休校期間中、私はClassroomを使って生徒たちに上図のような指示を出していました。休校期間が長引く中、生徒たちが普段と同じレベルの授業を自宅で視聴しながら学習を継続できたのは大きかったと思います。また、休校期間中、私は授業の視聴期限を「その授業がある日の2日後」に設定していました。これにより、生徒たちが時間割に沿いながらもある程度自分の都合の良い時間に授業を視聴することができたことも重要だったように思います。

 というのも、休校期間中は弟や妹の面倒を見たり、保護者の仕事を手伝ったりしながら学習に励んでいる生徒たちがいたからです。さまざまな事情を抱えながら懸命に生活する生徒たちにとって、時間割に沿って一定のリズムで学習しながらも、特定の時間に縛られずに学習することができたのは有益であったと思います。

 この点は、ZoomやGoogle Meetで出席をとって行うタイプのオンライン授業とは大きく異なる点です。もちろん、ZoomやGoogle Meetで行う授業にも魅力・メリットがたくさんありますので、大切なのは、生徒たちの状況に応じてさまざまな授業形態をどう組み合わせるかだと思います(当然ですが、これは休校期間中に限らず、どんなときでもそうです)。

 さて最後に、休校期間中の生徒たちの取り組みを具体的にご紹介します。下の画像は、生徒たちが動画を視聴しながら授業プリントに学習内容を書き込んだものです。休校期間中、生徒たちはそのプリントの写真をClassroomに添付して私に送信していました。

 ご覧いただいた通り、生徒たちは自宅で単に授業動画を視聴していたのではありません。動画の中で度々出される私からの発問に対して真剣に考え、そして考え抜いた過程を自分の言葉でプリントに書き込んでいます(これは、普段の授業のときからそうです)。休校期間中、ここまでアクティブに学習する生徒たちに対して、私は、無理のない範囲ではありますが、プリントから生徒たちの思考の過程を読み取ってコメントを返し続けていました。

 このように休校期間中であっても、私と生徒たちは学校生活の中心である「授業」を通して真剣にコミュニケーションを取り合っていました。このことは数多くの要因から実現しているものですが、その要因の一つとして確実に挙げられるのが、感染拡大の前から普段の授業をすべて撮影しGoogleドライブにアップしていたことです。すべての授業動画がそろっていたからこそ、生徒たちは普段と同じレベルの授業を視聴し続けることができました。そして、私には休校期間中ある程度「時間的な余裕」があり、その貴重な時間を上記のような形での生徒たちとのコミュニケーションに使えたのです。

 普段の授業をすべて撮影してGoogleドライブにアップしておくことは、生徒一人ひとりの学習機会を根底から確保するだけでなく、非常事態においても教員の仕事にゆとりと余裕をもたらすセーフティネットになりうるのだということを私はコロナ禍の中で身に染みて感じました。

次のページ
Googleドライブの授業動画を一般にも公開スタート

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この記事の著者

小森 一平(コモリ イッペイ)

 四條畷学園高等学校地歴公民科教諭、世界史・倫理を担当。専門の倫理をベースに世界史の授業を独自に設計。生徒たちの論理的思考力、俯瞰する力、発想を逆転させる力、言語操作能力(説明する力)などが、一人ひとりの感性のもとに自然と育まれていくような授業設計を日々思案。実践した授業はすべて撮影し生徒たちと共有...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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https://edtechzine.jp/article/detail/5265 2021/03/19 07:00

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