現役エンジニアの視点で開発された教材
今回、同社が発表した「Playgram」は、小学生から学べる教材。米国のコンピューターサイエンス教育のガイドラインである「K-12 Computer Science Framework」を参考にして、AI技術開発の第一線で活躍するPFNのエンジニアが開発した。発表会では開発担当者である同社 エンジニアの西澤勇輝氏がデモンストレーションを行った。
「Playgram」のグラフィックには3Dが採用されており、プログラミングによってロボットを動かし、表現力と空間認識能力を身に付けていく。また、プログラミングの基礎的なレクチャーを行う「ミッション」と、子どもたちが作品を自由に創作できる「クリエイト」の2つのモードが用意されている。
ミッションモードにはステージが設定されており、徐々に難しい課題が出されるようになっている。
ミッションモードのステージクリア時には評価が数値化される。評価は3種類あり、それぞれが計算量やプログラムの簡潔さ、事前にプランニングする能力を表している。
時間内により多くの問題を解くタイムアタックステージではゲーム感覚で課題に取り組むことができ、問題を解くと右上の数値(レーティング)が上がっていく。
これらの学習データは蓄積されて子どもたち一人ひとりの得意・苦手分野を解析し、学習状況を「見える化」するため、進捗に応じた最適な学びをカスタマイズできる。また、プログラミング経験のない講師や保護者でも子どもの理解力を正確に把握し、指導が可能となる。
また、いくつもの解が存在するチャレンジステージでは、課題の解き方まで子どもに考えさせ、課題解決能力を育てる。
こうしたカリキュラムもすべてPFNのエンジニアが設計しており、プログラミングの本質的な部分を多彩なステージを通じて学ぶことができる。
もう1つのモード、クリエイトモードは、ミッションモードで学んだ内容を実践する、自由度の高いモード。西澤氏は「プログラミングは覚えるだけでは使えるようにならない。『作りたい』という気持ちが能力を伸ばすと考えている」と述べた。
なお、「Playgram」のすべてのステージでは、ビジュアルプログラミングだけでなく、タイピングやプログラミングの基礎、最終的にはPythonによるテキストコーディングを学ぶことができ、子どもの理解度と意欲に応じてステップアップが可能。子ども向けの教材はブロックプログラミングのみで完結するものも多いが、「Playgram」はエンジニアが実務で使う技術とのつながりが強く意識されている。
教育事業者との連携、今後の展望
冒頭でお伝えした通り、総合教育サービス事業を展開するやる気スイッチグループとの提携により、「Playgram」は首都圏の3教室においてプログラミング教室パッケージとして導入される。
「楽しみながら学ぶ」「創造力を働かせて作る」という「Playgram」での学習体験と、やる気スイッチグループが長年培ってきた子どものやる気を引き出す指導メソッドとを組み合わせることで、子どもたちが将来のアプリケーション開発に生かせるスキル、課題解決力、自由な創造力を身に付けることを目指す。
さらにPFNは、子どもたちの学習の様子や成果を見ながら継続的に追加コンテンツの開発を進め、将来的には「Playgram」をARやIoT、AI技術等も組み込んだ、プログラミング教育のプラットフォームに育てていく、としている。
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