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イベントレポート(EdTech動向)

noteを教育に活用して正解のない学び、非同期の学びを――クラーク高校が進める「学びの可視化」とは?

「まなびを可視化する、新しい学校ウェブのつくりかた」レポート


 自分の思いや考えを書いて発信できる「note」を教育に活かす動きが出ている。noteは5月はじめに「note pro学校プラン」として教育機関に無償提供することを発表。それに先駆けて、いち早くnoteを活用しているのがクラーク記念国際高等学校だ。数値化が難しい特別活動でnoteを使った学びの可視化を進めるのが狙いだという。

クリエイターにおなじみの「note」が学校向けプランを無償提供

 文章、それに写真、イラスト、動画などのマルチメディアを投稿できるサービス「note」。2014年のサービスを開始以来、月間アクティブユーザーは4400万以上を数える。

 noteがこのところ力を入れているのが教育だ。5月初めには、法人向けプランの「note pro」の学校向けアカウントを小学校・中学校・高等学校・特別支援学校を対象に無償提供することを発表している。

 そのnoteが5月19日、クラーク記念国際高等学校(以下、クラーク高校)の業務推進部 業務推進課 牛込紘太氏を招いてウェビナーを開催、同校のnote活用について紹介した。

 noteで教育向けディレクターを務める中野氏は最初に、noteのミッションを「だれもが創作をはじめ、続けられるようにすること」と紹介する。そして、「このミッションそのものが教育に通じるものがあると思っており、新型コロナウイルス感染症に関係なく、自信を持ってnoteを教育界の人におすすめしたい」と続けた。

note株式会社 note ディレクター 中野麻衣子氏(左)と、クラーク記念国際高等学校 業務推進部 業務推進課 牛込紘太氏(右)
note株式会社 note ディレクター 中野麻衣子氏(左)と、クラーク記念国際高等学校 業務推進部 業務推進課 牛込紘太氏(右)

 このたび、そのnoteを使った情報発信を始めたのがクラーク高校だ。1992年設立、全国に50以上の拠点を持ち、在籍生徒は1万人以上という大規模な広域通信制高校だが、noteをどのように活用しているのか?

数値化できない学びを可視化するには?

 もともと、勤労や家庭の事情などで学校に通うことが困難な人たちにも進学の機会を与えようと設置された課程である通信制は、全日制と比較すると最低必要な授業時間が抑えられている。クラーク高校では高校卒業のために必要な授業以外の時間に独自のカリキュラムを設置し、コース特化型授業、留学、キャリア教育などさまざまな学びを展開している。特別活動は生徒の「好き」を社会につなげるなど、才能を開花させる教育としてクラーク高校の重要な特徴になっているものの、「ここでの学びが『数値化できない』と感じていた」と牛込氏は話す。「noteを使って自分の学びを書き起こして可視化し、それを発信できるのでは」と導入の経緯を説明する。

クラーク高校独自の教育プログラムとシステム
クラーク高校独自の教育プログラムとシステム

 このような経緯で同校はnote proを導入し、3月11日には正式に使用を開始。「クラーク高校、note始めます」と投稿した。クラーク高校のnoteには、テーマ別の記事を集めるマガジン機能を利用して、生徒が発信したnoteを集めた「生徒の部屋」、先生のnoteを集めた「先生の部屋」、note愛好家が運営する「CLARK note部」などが並んでいる。とは言え、まだ小さくスタートした段階であり、全国64ある拠点すべてには展開していない。「ポジティブな変化で生徒と教員からの理解を獲得しつつ広げていきたい」と牛込氏は語る。

「クラーク高校、note始めます」
「クラーク高校、note始めます」

 noteがどのように学びの可視化につながるのか。牛込氏は「客観的に自分を捉えて、どんなことを学んだのかを書き残すことで振り返ることができる」と説明する。

 「こちらが意図する学びと生徒が感じている学びは必ずしも同じでないが、どんなことを感じて、どんな行動をとったのかを自分の言葉で書き残して確認ができる」(牛込氏)

 生徒にしてみれば、自分が書いたものが卒業後も歴史として残り、自分の「ポートフォリオ」を作っていくことにつながる。

次のページ
なぜクラーク高校はnoteを選んだのか

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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