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テストの採点時間を21時間も削減! 教員と生徒の意識にも変化をもたらした「スキャネットシート」

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2020/05/11 07:00

 教育現場でのICT活用が急速に進んでいる。学習効果を高めるため、教員の役割がますます重要になることは間違いない。十分に生徒に向き合う時間を捻出するためにも、これまで以上の業務効率化が不可欠であり、その解決策としてもICTの効果が期待されている。そうした背景から、常総学院高等学校は、煩雑なテストの採点業務の効率化を目的に、スキャナで読み取れるマークシート「スキャネットシート」と、記述式テストの自動採点ソフト「デジらく採点2」を導入。どのような効果が得られたのか。同校で英語を担当する青栁隆雄先生に話を聞いた。

スキャナで読めるマークシート「スキャネットシート」

 「スキャネットシート」はスキャネット株式会社が提供する、手持ちのスキャナや複合機で読み取り可能なマークシート。解答結果の自動採点や集計、分析を専用ソフトウェアで素早く行うことができる。

記述式テスト対応ソフトウェア「デジらく採点2」

 「デジらく採点2」はスキャネットシートのユーザーであれば無料で利用可能なソフトウェアで、記述式テストの読み取り・自動採点が可能。オプションとして「Google Classroom」との連携も用意されており、出力される採点結果や個人成績表を、インターネット経由で一括返却できるようになる。

年間100時間以上もかかっていた採点業務の効率化を目指す

 茨城県を代表する文武両道の名門校であり、野球や吹奏楽の強豪校としても知られる常総学院。今年で創立38年目を迎え、中高一貫校として中学校で生徒数約350名、高等学校で約2000名を擁し、教員数も総勢で170名を越えるなど、県内最大級の規模を誇る。「自主・誠実・創造」を校訓とし、「知育・徳育・体育の円満なる人物の育成」の教育目標のもと、誇りを持ってグローバルに活躍できる次世代リーダーの輩出を目指している。

 新しい教育環境づくりにも積極的で、校舎は全館Wi-Fi接続ができる環境のもと、中学校は1人1台、高校は全校で約300台のChromebookが用意されており、Googleが提供する「G Suite」のほか、さまざまな授業支援ツールやデジタル教材が導入されている。高校も2021年にChromebookを1人1台環境を整備する予定で、学習のICT化が着々と進行中だ。

 その一方、大規模校ゆえの悩みとして教職員の業務量が多く、その最適化が大きな課題となっていた。7時間分の授業の後、補講を終え、最終のスクールバスが出るのは18時半過ぎ。その後、テストの採点などの作業を行う先生も多く、なかなか定時に帰宅できずにいたという。青栁先生は次のように話す。

 「授業後の残務で特に時間がかかっていたのが、テストの採点でした。定期テストの採点は1クラス5時間程度で、5クラス分であれば25時間にもなります。18時過ぎに生徒を見送った後、21時までずっと採点作業をするような状況で、時には持ち帰って作業することもありました。さらに時間がかかると採点基準がブレてしまうのも悩みどころでした。できるだけブレを避けるため、同じ設問を横串で採点していくのですが、紙をめくる作業だけでもなかなか大変なんです」

常総学院高等学校 進路指導部 進路指導課 課長 青栁隆雄先生
常総学院高等学校 進路指導部 進路指導課 課長 青栁隆雄先生

 作業として「紙をめくる」のは些細な動作だが、それが30問、5クラス200人分と繰り返されるとなれば話は別だ。さらに答案ごとに部分点を5点中2点、3点と、考えながら書き込む必要があり、負担はますます大きくなる。しかも採点後の合計は手計算で行われ、細かい採点基準を加味しながら一人ひとり間違いなく算出していくのは大変な作業だ。時には採点ミスも起きてしまう。

 もちろん、採点だけが授業後の仕事ではない。部活動の顧問や進路指導、学校行事などの特別活動、さらに中堅教員として教育実習生や新卒教員のサポート、さらに保護者への対応など多岐にわたる。当然ながら、授業のための教材研究にも時間が必要だ。さらに青栁先生においては家庭の事情も重なり、プライベートの時間確保も大きな課題となっていた。

 「ずっと何かを変えなければと思いつつ機会を逃していたのですが、『もう限界』というタイミングで本気で改革しなければと考えました。個人的な事情も大きいのですが、業務効率化は全教員にとって大きな課題であり、学校全体のものとして解決する必要がありました。そこでまずはコンピューターが好きだったこともあり、自分ができることとしてICTによる作業効率化を模索するようになったんです。まずは、テストの問題作成をパソコンで行ったり、作った資料をプロジェクターで映したりするようになり、同様に採点についても効率化できないものかと模索するようになりました」


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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