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小学校での「プログラミング教育」どうするの? 先生の悩みをトップランナーたちとひも解く

「まずはプログラミングを楽しむ」を大切に――CoderDojo Japanの宮島衣瑛氏に聞く、千葉県柏市の先行事例

小学校での「プログラミング教育」どうするの? 先生の悩みをトップランナーたちとひも解く 第4回(前編)

 いよいよ、今年2020年度より小学校でのプログラミング教育必修化がスタートする。しかし、いまだ試行錯誤している学校現場も少なくない。このコーナーでは、プログラミング教育支援を行っているトップランナーにお話を聞き、小学校でのプログラミング教育導入のヒントを探っていく。今回は全国の子どもたちが参加できる無料のプログラミングクラブ「CoderDojo」の日本での運営をサポートする一般社団法人CoderDojo Japan理事の宮島衣瑛氏に話を聞いた。自らも千葉県柏市でCoderDojo Kashiwaを運営し、市内の小学校でのプログラミング教育のサポートを行っている宮島氏は、教育委員会と地域のCoderDojoが連携したロールモデルを例に、プログラミングの授業の期待できるところについて語ってくれた。

CoderDojoは無料で自由に参加できる地域のプログラミングクラブ

 ――まず、CoderDojoについて教えていただけますか。

 宮島衣瑛氏(以下、宮島)CoderDojoは、2011年にアイルランドで始まった、無償の子ども向けプログラミングクラブです。現在は世界110か国で2000以上、日本国内にも190以上のCoderDojoがあります。7歳から17歳までの子どもを対象にしていて、子どもたちが自分でやりたいことを学び、それをメンターやボランティアがサポートします。ちなみに、CoderDojoを運営する人を「チャンピオン」、通う子どもたちを「ニンジャ」と呼びます。

 特徴はオープンソース文化であることで、CoderDojoを設立したいと思った人は共通ルールである「CoderDojo憲章」に同意して申請を行い、自分のCoderDojoを起ち上げることができます。参加は無料であることが理念のひとつで、お金でなく理念で動くのがCoderDojoです。日本だとあまりピンとこないかもしれませんが、貧富の差や宗教、政治、人種に関係なく、誰でも平等に参加できることを大切にしています。

 国内でも近年のプログラミング教育の盛り上がりで年々増えており、認知度も徐々に広がっている感じです。

 私は中学3年生だった2012年に、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で開催されたScratchのカンファレンスに参加し、そこで日本で初めてCoderDojoの運営を始めた方と知り合い、CoderDojoにメンターとして誘われたのがきっかけで関わり始めました。

一般社団法人 CoderDojo Japan理事であり、CoderDojo Kashiwaの運営を行う宮島衣瑛(きりえ)氏。現在、現役の大学生でありながら、学校へのプログラミング教育支援などを行うInnovation Powerを起業し、代表取締役を務めている。
一般社団法人 CoderDojo Japan理事であり、CoderDojo Kashiwaの運営を行う宮島衣瑛(きりえ)氏。現役大学生でありながら、学校へのプログラミング教育支援などを行う株式会社Innovation Powerを起業し、代表取締役を務めている。

 ――学生時代からプログラミングをやっていたということは、学校で部活動などをされていたのでしょうか。

 宮島:いえ、部活はずっと水泳部だったのですが、幼稚園から中学3年生までレゴの教室に通っていました。実は、10年以上通っていたわりに、レゴもブログラミングも得意ではなかったんです。でも、ここまでやったからには「ここで終わりはもったいない、教える側になりたい」と思いました。また、小学生のころから先生になりたいという気持ちがあり、現在は教員免許をとるため大学の教育学科に通っています。

プログラミングだけでないプロが集うCoderDojo

 ――宮島さんが理事を務められているCoderDojo Japanは、どんなことを行っているのですか。

 宮島:CoderDojo Japanは2016年夏に設立されましたが、私が関わり始めたのは2017年の秋からでした。主に日本のCoderDojoのコミュニティを下から支えるという役割をしていて、個々のCoderDojoの管理を行っているわけではありません。例えば、企業がリース用コンピュータを寄贈する際の窓口になったり、Facebookで道場の管理者のコミュニティグループを運営したりするなど、あくまでサポートに徹しています。

 ――CoderDojoによって教え方やカリキュラムは異なっているのでしょうか。

 宮島:CoderDojoは何をやってもいいですし、どうやるかも自由です。いわゆる、民間のフランチャイズのプログラミング教室とは異なり、それぞれのCoderDojoによって内容が違うのも特徴です。日本のCoderDojoは現在190以上ありますが、道場同士の横のつながりがあまりないんですね。そこで各道場の特色が出るので、おもしろみでもあると思っています。

 ――CoderDojoならではのよさはどんなところにあると考えていらっしゃいますか。

 宮島:まず、道場を始める運営者にとってのハードルの低さですね。特に、やらなければならないことや目標はありません。こうした手軽さや気軽さが、日本全国にCoderDojoが広がった最大の理由だと思います。また、オープンソースである(無料で誰でもアクセスできる)点も、プログラマの理念に合っていると思います。

 CoderDojo同士の横のつながりが薄いと言いましたが、実は、CoderDojoの運営者同士はプログラミング教育とは関係のないイベントでよく顔を合わせるなど、結構近いコミュニティに属しているように感じています。

 ――ということは、CoderDojoを始める方は、プログラマやエンジニアの方が多いのでしょうか。

 宮島:最近は主婦や教育関係者も始められていて、プログラマやエンジニアだけというわけではないですね。それにCoderDojoは、プログラミングクラブといってもプログラミングだけではないんです。

 例えば、カメラマンがYouTube講座を行うなど、とても自由で、内容のハードルが低いんです。デザイナーやクリエイターをはじめ、いろいろな分野のスペシャリストが集まっているところもよいところだと思います。

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CoderDojo Kashiwaが柏市のプログラミング教育に全面協力

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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岡田 果子(編集部)(オカダカコ)

2017年7月よりEdTechZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。最近は英語学習のアプリやオンライン講座に興味がある。

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