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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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導入事例(オンライン英会話)

私立中学の英語授業にオンライン英会話を導入!――4技能型検定試験の採用が進む大学入試を見据えた、話す・聞く力を伸ばすための取り組みとは?


 埼玉県さいたま市にある淑徳与野中学・高等学校は、中高一貫教育を行う私立の女子校だ。卒業生の90%以上が現役で四年制大学に合格する進学校として知られる同校では、2017年4月から新たな取り組みをスタートさせた。中学2年生の英語の授業へオンライン英会話を導入したのである。フィリピン人講師とマンツーマンで週1回行うオンライン英会話では、学校のカリキュラムに沿ったスピーキング用教材を使ってレッスンが進められる。導入に尽力し、オンライン英会話が実施される教室で監督も務めている同校の英語科教諭、池田佑介先生に話を聞いた。

 淑徳与野中学校の英語は全学年でα、β、γという3種類の授業を行っている。αは読む、聞く、書く、話すという4技能を網羅した総合英語、βは基礎文法、γは英語ネイティブ講師によるコミュニケーションの授業だ。英語の授業数は3学年とも週6回。α、β、γの時間数は学年によって異なるが、中2の場合はαが3時間、βが2時間、γが1時間となっている。

 充実した英語教育を実施しつつも、αの授業を担当してきた池田佑介先生は、オンライン英会話導入前、特にスピーキングの指導に関してある種の限界を感じていたという。

 「1クラス生徒40人対教師1人では、できることに限りがあります。1対1でやりとりする時間はまず取れないし、1人が発話できる時間も少ない。生徒が2人1組になってペアワークをすれば、十分な発話時間が取れるといいますが、気心の知れた同級生間では、初対面の人と英語で話すといった、心理的なバリアを乗り越える経験もできません。コミュニケーション、スピーキングの観点から考えても、ペアワークでは期待できる効果に限りがあると考えていました」

淑徳与野中学・高等学校 池田佑介先生
淑徳与野中学・高等学校 池田佑介先生

教科書に準拠したオンライン英会話

 そんな悩みを抱えていた池田先生は、同校が採用している英語の教科書『NEW TREASURE ENGLISH SERIES』を出版する株式会社Z会の担当者から、同教科書に準拠したオンライン英会話ができるサービスの話を聞かされる。Z会は2016年2月より、オンライン英会話サービス事業を運営する株式会社レアジョブと英語教育サービスの共同開発を行っている。その一環として2017年4月から開講となったのが、オンライン英会話サービス「NEW TREASURE Online Speaking」だ。

 「実は前の学校で教えていたときにこの話は聞いていて、ずっと興味がありました。スピーキングに関しては、英語ネイティブ、または日本語がわからない外国人の先生と1対1でやるのが一番効果的ですから」

 導入にあたっては、昨年末2度のトライアルでオンライン英会話を実施。最初は英語好きの生徒を選抜して行い大好評を得るが、校長からの指示により英語が苦手な生徒を対象にしたトライアルも行った。「直前の、生徒が醸し出す不安、憂鬱(ゆううつ)といった気持ちが混ざった空気感は何とも言えなかった」が、終わってみると「思ったより楽しかった」「意外と話せたし通じた」など、肯定的な感想が多かったという。

 「大学入試が4技能化に進んでいく中で、スピーキング力は不足しています。また今後、スピーキング力がますます必要になってくる世の中の流れがある。そういった共通認識が学校全体としてありました。そのため、管理職に英語科の教員がいない現状にありながら、この新しい授業形態の提案には、非常に前向きな反応が得られました」

アプリはappear.inを利用

 晴れて導入が決定すると、初年度はまず2年生のみを対象にすることに。1クラス40人×3クラス=120名の生徒がオンライン英会話を受ける準備が行われた。

 通常のオンライン英会話はSkypeを利用するのが主流だが、「NEW TREASURE Online Speaking」はWeb会議のアプリとして知られるappear.in(アピアイン)を利用。アプリのインストールやユーザー名やパスワードなどの入力によるログインが不要で、appear.inサイトのトップ画面でWeb会議の名前を入力してstartをクリックすると、ルームが作成され接続されるというもの。チャットしたい相手に、作成したURLを知らせ、相手がルームに入れば、すぐチャットが開始できる便利なシステムだ。

 昨年のトライアルでは、学校のネットワーク環境も当然チェックした。1クラス40人を一度につなげるのは厳しかったため、20人ずつに分け受講させることに。だが4月にいざ初めてみると、高校の授業でも同時にネットを使っていた影響から通信速度が遅い、つながらないといった想定外の問題も出てきた(時間や場所を変えるなどして対処)。また当初は、音が聞こえない、動画が突然切れてしまったといったトラブルもあったが、開始から3か月が経過した7月時点では軌道に乗り、大きな問題は生じなくなっている。

 「ネットワーク環境は既存のものを使用し、契約の変更などはしていません。PC端末はすべて、もともとあったものです。新たに購入したのは、ヘッドセットくらいです」

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従来の授業に組み込んで実施。芽生えた自信!

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EdTechZine編集部(エドテックジンヘンシュウブ)

翔泳社が運営する教育ICT(EdTech、エドテック)の専門メディアです。EdTechZineでは、「学びたい」「教えたい」という意欲を持つすべての方に向けて、ICTを活用した次世代の学びに関する情報を多角的な視点で毎日提供します。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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