ソニーは、渋谷モディ1階にあるソニースクエア渋谷プロジェクトにおいて、参加者のクリエイティビティを広げ、次世代のクリエイターを生み出すワークショップ「Square Program(スクエア プログラム)」を継続的に開催している。9回目となる今回はイラストやグラフィック、絵画、造形などのアート制作経験がある学生や若手クリエイターを対象に「aibo x graphic artコンペティション」を実施し、12月19日に作品の発表を行った。
「aibo x graphic artコンペティション」は、自由にプログラミングできる「aibo(アイボ)」がパートナーになり、その動きを使って新たなアート作品の制作に挑戦するコンペティション。参加者は、11月下旬よりイメージを構想し、12月上旬にソニースクエア渋谷プロジェクトやソニー本社で、実際に「aibo」の動きをプログラミングして作品を制作した。各自がオリジナルの表現方法を組み合わせることで新たなアート作品が生み出された。
今回の取り組みでは、学生や若手クリエイターたちが、絵の具をしみこませた特別な足裏パットをつけた「aibo」を、自由にプログラミングして紙やキャンバスの上で動かすことにより、オリジナルの絵を描いた。直進させると直線、その場で旋回させると円形を描くことができ、蹴る、穴を掘る、ダンスをするなどさまざまな動きによって味のある表現を行うことができる。
作品発表の当日は、イラストやムービー、コピーライティングなどで活躍するマルチクリエイターのパントビスコ氏が審査員として登場。参加者に向けてトークショーが実施され、作品の講評のほか、自身の活動やテクノロジーとアートの融合について語られた。
参加者に向けて、パントビスコ氏によるトークセッション
パントビスコ氏は「いつもクリエーションする際、人とちょっと違うことや、新しいものを生み出し、人を感動させたいという気持ちで取り組んでいます」と、普段の活動における思いを語った。また、ソニーとの共創のきっかけについて「aiboの動きをプログラミングしてオリジナルのふるまいを制作するという企画がきっかけでした。プログラミングは自分の分野と真逆なので最初は心配だったのですが、しっぽを振る、耳をかく、喜ぶ、といったアクションを組み合わせる内容だったので、プログラミング自体は簡単でした。テクノロジーとアートの融合ということで、自分は海中に潜る『潜水aibo』という作品をつくりました」と振り返った。コンペティションの審査のポイントは「やっぱりユニークさですね。他の人が考えないような発想のものが良いなと思います」と、参加者へ期待を込めた。
審査員3名の評価により、5組の作品の中から優勝を飾ったのは「○(えん)」
優勝作品は、4枚のテキスタイルで「aiboと人間の関係」を表現した、作品名「○(えん)」。選定理由についてパントビスコ氏は、「一つひとつのaiboのモーションにストーリーがあり、四季に寄り添って人間が描かれている点が、aiboとの親和性を感じ、一番共感したポイントです」と話した。そのほか審査員を務めたソニー株式会社 AIロボティクスビジネスグループ コミュニティ企画推進室の石田敦雄氏は「人とのつながりということで、さまざまな世代のことも考えて作られている点が良いですね」、同じく審査員を務めたソニー株式会社 ブランドデザインプラットフォーム クリエイティブセンターの前坂大吾氏は「人の生活にすっと入っていくスカーフを選んだとのことでしたが、人との共生というaiboの本質が、作品のコンセプトに含まれている点がとても良かったです」と評価した。
優勝作品に選ばれた受賞者は、「実はもともとロボットに興味がありました。今回aiboの自由な動きによって思いもよらない面白い表現が生まれました」と喜びを語った。また「参加する前はロボットは人の手で操られていると思っていましたが、aiboは感情があるので、まるでパートナーのように感じながら一緒に作業することができました。今までやったことのなかった、アートとテクノロジーの融合を経験して、『偶然が生み出す美』に心動かされました。これをきっかけに今後の作品にそういった『偶然性』を生かしていきたいです」とコメントした。
なお、優勝作品は2020年1月14日~2月初旬にかけて、ソニースクエア渋谷プロジェクト内で展示されるほか、渋谷モディ壁面大型街頭ビジョン「ソニービジョン渋谷」でも紹介される。ソニービジョン渋谷での放映は、9時~24時毎時間あたり数回が予定されている。
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