プログラミングコンテストを運営するAtCoderは、実践的なプログラミングスキルを可視化する検定としては日本初となる「アルゴリズム実技検定」の提供を開始し、12月14日に第1回試験を実施する。
本記事は、CodeZineニュースからの転載です(元記事)。
現在、世界中の企業で高度なスキルを持つプログラマーの需要が高まっている一方で、2018年に経済産業省が行った「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には先端的なスキルを持つIT人材が日本国内で約55万人不足すると推定されている。
この先端IT人材について、AtCoder株式会社代表取締役の高橋直大氏は「コードを1から書くことができ、高速化まで考えることができる人材」と説明。加えて、同社取締役副社長の青木謙尚氏は「コードが読める、書ける基礎体力と、アルゴリズムの高速化ができることは、たとえ今後問われるものが変わっても、腐ることはない」と、今後先端IT人材が多くの企業で必要になると言及した。
需要は高まるものの、増えない先端IT人材
企業は高度なプログラミングスキルを持つIT人材の確保に乗りだしているものの、ITスキル自体の評価基準が曖昧なため、求職者と企業間で採用のミスマッチが起きる問題も発生している。
特にIT関連職種を希望している学生も、6割以上が「(企業が)どの程度のプログラミングスキルを求めているのか、基準が分からない」と答え、企業側の不明瞭な採用基準を不安視するなど、IT人材の正当な評価がなされていない状況が続いている。
また、既存のIT・コンピュータ関連の検定は、4択形式や穴埋め形式、実行を手で追う形式が多く、特定分野の知識やプログラミング言語の文法など、プログラミング言語そのものへの理解を問う問題が大半だった。「プログラムを書く」という、実践の場で必要となるプログラミング能力が問われないため、試験には合格できても、プログラムが書けない人も少なくない。
AtCoder「アルゴリズム実技検定」の詳細
今回実施されるAtCoderの「アルゴリズム実技検定」は「アルゴリズムをデザインし、コーディングする能力」、つまり1からプログラムを作成する能力を問う、実務を想定した日本初の検定となっている。
また「AtCoder」は、世界3大競技プログラミングコンテストのひとつであり、毎回世界中のトッププログラマー数千人が参加している。これまでハイレベルのプログラマーを育て、企業へ輩出しており、現在は毎回約5000人が参加。週に1~2回、2時間程度のコンテストが開かれ、実力判定を行っている。
現在「AtCoder」の登録人数は約14万人。実力を判定できる点は多くの企業から高評価を受けているものの、コンテストに何度も出場しないとレーティングが出ないため、時間が取りづらい人にとってはハードルが高いとされていた。
今回提供開始される「アルゴリズム実技検定」では5時間の試験を受けるだけで、気軽にアルゴリズムを構築する能力を実測でき、プログラマーとしての「基礎体力」を測れる。
具体的には、「知識型ではない」「受験者が得意なプログラミング言語を選べる」「アルゴリズムの実力を測る」といった3つの特徴により、可視化が難しかったプログラミング能力を、5段階のランク付けで評価することができる。ランクは獲得した点数に応じて認定される。ランク分けは、以下の通り。
- 【問題数】:15問(1問目=9点/2~3問目=8点/4~6問目=7点/7~15問目=6点)、100点満点
- 【ランク】:エントリー(25-39点)、初級(40-59点)、中級(60-79点)、上級(80-89点)、エキスパート(90-100点)
検定では、問題文を開きながら、実際に普段使用しているエディタを使ってコーディングを行うことができる。1から自身で考えて作成したソースコードを提出すると、用意されたサンプルケースに基づき、リアルタイムでコンピュータが正誤判定を行う。
青木氏は「まずはエンジニアとして働いている人、そしてマネジメントを行う立場の人にも、検定を受けて自身の現在のプログラミング能力を知ってほしい。また学生など『自分のスキルがちゃんと評価されているのか分からない』人にもぜひ受けてもらいたい」と述べた。
第1回「アルゴリズム実技検定」の開催日時は、12月14日の13時から、5時間を予定している。受験(オンライン受験)には事前の申し込み(AtCoderID)が必要となっており、受付は11月下旬より開始される予定。また、受験費用は一般が8800円(税込)で、30名以上の団体受験は1人あたり7040円(税込)、100名以上の団体受験では1人あたり6160円(税込)となる。
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