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高校3年生の半数が使う学習アプリ「Studyplus」――代表の廣瀬高志氏が目指す「学ぶ喜びの支援」とは?

EdTechビジョナリーインタビュー 第8回

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2019/08/19 07:00

 さまざまなICTツールや教材による自立型学習が注目されている。その成果を高めるには学習の進捗管理や勉強仲間とのコミュニケーションがカギとなる。スタディプラスが展開する「Studyplus」は、自立型学習に欠かせない仕組みを提供する学習管理サービスだ。2019年8月時点で総ユーザー数は450万人を超え、高校3年生の半数が使う勉強系アプリとして急成長を遂げている。その躍進の経緯や今後の展望などについて、同社 代表取締役社長の廣瀬高志氏にお話を聞いた。

「学びたい」気持ちをサポートする学習管理サービス

スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬高志氏
スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬高志氏

――スタディプラスが提供する学習管理サービス「Studyplus」は、高校生を中心に広く活用され、いまや受験生には欠かせないアプリになっているようです。どのような経緯から創業に至ったのでしょうか。

 2010年5月、大学3年生のときにネットプライス社主催のビジネスコンテストに出場し、優勝したことが創業のきっかけです。そのとき提出したプランが「学習記録をつけてモチベーションを維持する」というもので、そのままStudyplusの前身である「スタディログ」のコンセプトになりました。そのため、創業時からほとんどやりたいことは変わっていないんです。

 学習管理によってモチベーションを上げることを事業のテーマにしたのは、シンプルに自分の体験からきています。私自身、学生時代に学習のモチベーションを保ち続けることが一番の課題でした。図書館で勉強しようと友だちで集まると誰かが「モチベがカギだよね~」と言い出す。みんなが課題として感じているのではないかと思いました。

 でも、実際に探してみてもモチベーションを上げることに特化したサービスはほとんど見当たらない。リアルな進学塾や予備校がその一端を担っているとも言えますが、費用や地理的なこともあって、必ずしも全員がその恩恵を受けられるわけではありません。そこで、オンラインでモチベーションを保つことができるサービスを提供できないかと考えたのです。

――モチベーションを上げるための仕組みとして、学習管理に着目したのはなぜですか。

 もともと授業を受けるという「受け身」の勉強が大の苦手で、自分のペースで勉強することが好きだったからでしょうね。そして勉強を継続するためには目標に対する到達度や自分の成長を可視化できる学習管理が必要だと感じたのです。

 高校2年生の頃に受験を意識するようになり、自分好みの参考書を購入し勉強していたのですが、すぐに飽きてしまい、なかなか続きませんでした。そこで、東大にトップ合格した先輩に勉強法を聞きに行ったところ「合格体験記を参考にする」「勉強ノートで進捗を記録する」の2点をアドバイスしてもらいました。それで目標に対して計画を立て、進捗管理を自分で行うようにすると、コンスタントに勉強できるようになったのです。

 幸い、私の場合は身近にアドバイスしてくれる先輩がいて、一緒に勉強する友だちもいました。でも、そうじゃない人もいる。また、ノートに進捗を記録して可視化するのも、それなりに時間と手間がかかります。ICTを活用して「仲間とのコミュニケーション」と「学習管理の効率化」が可能になれば、勉強したいと思っている、より多くの人々をサポートできるのではと考えるようになりました。

生徒向け「Studyplus」と塾の先生向け「Studyplus for School」を展開

――Studyplusでは、「仲間とのコミュニケーション」と「学習管理の効率化」をどのように実現されているのでしょうか。

 Studyplusをざっくり説明するときに「家計簿×SNS」という言い方をしています。進捗記録とそれを媒介にしたコミュニケーションということですね。時間のない受験生が対象なので、できるだけ自動化して簡単にできるよう工夫しました。

 まず学習管理については、アプリ内のストップウォッチで計測し、手入力で進捗を記録するのが基本です。最近ではAPIを公開し、連携可能な学習アプリも50を越えました。それらについては自動的に学習した分だけ時間が記録されます。目標を入力しておけば、到達までの進捗状況もひと目でわかるようになっているのです。このあたりは特に直感的に把握できるよう、インターフェイスを改善してきました。

目標に対する進捗が一目でわかる(サンプル画面)
目標に対する進捗が一目でわかる(サンプル画面)

 またSNS機能としては、志望校が同じ人をフォローしてタイムラインで学習記録を共有し、「いいね!」やコメントでコミュニケーションできるようになっています。受験勉強は孤独な戦いですが、同じ目標に向かっている「仲間」のがんばりが感じられるとすごく励みになりますよね。

志望校が同じユーザーの勉強の様子をタイムラインで確認できる(サンプル画面)
志望校が同じユーザーの勉強の様子をタイムラインで確認できる(サンプル画面)

 たとえ周囲に同じ志望校の人がいなくても、Studyplusでそうした人とつながれるのは情報面でも感情面でも大いに刺激となります。首都圏や都市部、それも進学校の生徒の利用がやはり多いのですが、そうでない生徒からも「同じ学校の志望者とつながったことでモチベーションを保って勉強できた」という感謝のコメントもよくいただきます。

――個人向けのアプリだけではなく、塾などの教育事業者向けサービスも提供されていらっしゃいますね。

 はい、生徒からは個人で利用している人も、塾で利用している人にも、同じサービスとして見えています。それに加えて、塾や予備校には「Studyplus for School」という先生向けのサービスを提供しており、その事業収益の比率が上がってきています。

 背景には、先生の仕事が大きく変化していることがあります。今後は一人ひとりの進捗に合わせたアダプティブラーニングの比率が必然的に高まり、先生の仕事として教壇に立って教えるティーチングよりも、それぞれの生徒に適したアドバイスを行うコーチングがメインになってくると考えられます。しかし、まだまだ学習管理はアナログで行われていることが多く、テストの結果や自己申告などに頼らざるを得ません。

 実はStudyplusが立ち上がった直後から、教育事業者の方から「塾で使えないのか」「先生の管理画面がほしい」といった要望をたくさんいただいていました。生徒の学習状況が把握できれば、密なコミュニケーションのもとで適切な指導もでき、退塾防止にもつながります。

 そこで2016年にStudyplus for Schoolをリリースし、生徒のStudyplusの情報を共有することで、塾以外での勉強も含めての学習状況を把握できる仕組みを提供することになりました。

生徒の学習状況が可視化される(サンプル画面)
生徒の学習状況が可視化される(サンプル画面)

 ニーズがあり、それに応えたという経緯もあって、実はStudyplus for Schoolについてはさほど積極的には営業活動を行っていません。その代わり、効果的に活用されたお客さまの表彰や活用事例の共有など、カスタマーサクセスに力を入れています。塾内のランキングを掲示したり、保護者面談で情報を共有したり、メッセージには感情が伝わるように顔文字を入れたり、塾の先生もそれぞれ工夫されていて、本当に頭が下がります。


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

  • 森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

    2016年10月に翔泳社へ入社し、CodeZine編集部へ配属。2017年4月からはEdTechZineの編集も兼任。前職は組み込み系ソフトウェアエンジニア。

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