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自立型学習塾の可能性とは何か? EdTechツールを多数活用する大学受験専門塾「ユニバーハイスクール」

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2019/06/11 07:00

 EdTechツールを活用する塾の先駆けとして注目される「学習塾ユニバースクール」が、2018年に開校した大学受験専門の高等部「ユニバーハイスクール」。受験専門予備校に多い座学&講義型による集団指導は一切行わず、個別に組んだカリキュラムに則って、映像やAIを活用したEdTechツールで生徒が学ぶ自立型学習式となっている。進捗把握や自宅学習のサポートにもツールを活用する徹底ぶりで、次世代スタンダードと目される自立型学習塾の中でも先進的な取り組みが目立つ。1年が経過し、どのような手応えが得られたのか。同校を運営する湯浅浩章氏と天野玄樹氏に、今後の可能性や課題も含めてお話しいただいた。

集団指導に限界を感じ、効率的に学力を伸ばす演習重視に転換

――「自立型学習を主とする個別指導塾」という現在の形態に至った経緯や目的などについてお聞かせください。

湯浅氏(以下敬称略):かつて、私も天野も大手の集団指導塾の講師で、徐々にクラス単位で行われる授業に違和感を抱くようになっていました。どんなにクラス分けしても学力差が生じ、全員に満足してもらえる授業は不可能なのです。そして「成績が上がる生徒は演習をたっぷりしている」という実感もあり、演習の時間を多く確保するため、「教える授業」を短くする効率化を考え始めました。

 最初はプロジェクターを使うなど小さな工夫から始めましたが、そのうち自分たちが実現したい授業のアイディアがどんどん湧いてきました。どうしても形にしたくなり、独立して2015年3月に「学習塾ユニバースクール」を開校しました。

株式会社UNIVATION 代表取締役 湯浅浩章氏
株式会社UNIVATION 代表取締役 湯浅浩章氏

天野氏(以下敬称略):当時、私は塾業界に入って3年目で、授業の品質を上げるだけで手一杯でした。一生懸命になればなるほど、質問や演習などのフォローができないというジレンマがあったのです。もっと生徒一人ひとりのために何かできないか、そう考えるうちに、湯浅との起業に至りました。

 学習塾ユニバースクールを始めた当初は集団指導がメインで、それをどう効率化するかに注力していました。ツールもどんどん導入して、授業としての精度はかなり上がったと思います。しかし、それでも一人ひとりに最適化した教育とは言えず、取り残される子どもが出てくる。当時はかなり悩みました。

株式会社UNIVATION 最高執行責任者 天野玄樹氏
株式会社UNIVATION 最高執行責任者 天野玄樹氏

湯浅:現在につながる個別学習の流れができたのは、中学部の卒業生の希望で高等部を作ったことが大きいです。とにかく人手が足りなかったため、まずは「ベリタス・アカデミー」の映像授業を導入しました。しかし、どんなにすばらしい講義を視聴しても、やはり演習なしで学力向上を目指すのは難しい。そこで演習を増やすために「eトレ」のプリント学習を導入し、その後、進捗管理もできる「Studyplus for School」を導入しました。

 ここでようやく個別学習の高等部ブランドとしてやっていける自信が生まれたので、2018年3月より大学受験専門塾「ユニバーハイスクール」として開校に至りました。現在、映像授業としては「学びエイド」を追加導入しています。

最新EdTechツールを積極的に導入し、最適な組み合わせを模索

――現在、各ツールをどのように使い分けていらっしゃいますか。

天野:まず「教わる」という場面では「ベリタス・アカデミー」を集団学習的な映像授業として使っています。通年教材としてカリキュラムを組みやすいため、大学受験に向けて網羅的に学習することを目的にしています。一方、「学びエイド」は辞書代わりです。知りたいことやわからないことを自分で調べて学ぶツールといった感じですね。

湯浅:学習の進捗管理には「Studyplus for School」を活用しています。塾での学習はもちろん、家庭学習での進捗もすべて一元管理でき、生徒のがんばりぶりが見えるので、講師も四六時中覗いていますよ。「昨日はがんばったね」とコミュニケーションのきっかけにもなり、「見てくれている」という承認が生徒の勉強へのモチベーションにつながる。それがユニバーハイスクールを家庭でも学校でもない「第三の場所」にしているように思いますね。

 もしかすると自立型学習の究極は「塾がいらないこと」なのかもしれません。しかし、わざわざ来てもらうからには「何か」がなくてはならない。例えば音楽は無料で聞けるようになってきているけれど、ライブ人口は増えていると言われています。そうした「場の魅力」を考えていく必要があると思います。

天野:英語の音読は「LoqLog(ロクログ)」を使って1日20分間やってもらっています。翻訳せずに直感的に英語を捉えるのに音読は効果的と言われていますが、量をこなすことはなかなか難しい。そこはアプリの助けを借りると効果的ですね。

湯浅:数学では「atama+(アタマプラス)」を「ベリタス・アカデミー」で授業を受けた後の演習として使っています。この教材のメリットは、理解できていないところをAIで細かく判断してくれて、苦手な部分を集中的に学習できることです。例えば、高校生でも中学の単元でつまづいていることがわかりますし、さかのぼって問題を解くこともできます。

各EdTechツールは生徒のスマートフォンからも使用できるが、より大きい画面を使った学習のほうが望ましい。そのため、教室にはタブレット端末が用意されている。
各EdTechツールは生徒のスマートフォンからも使用できるが、より大きい画面を使った学習のほうが望ましい。
そのため、教室にはタブレット端末が用意されている。

 さまざまな最新のEdTechツールを使っていますが、決してデジタルだけにこだわっているわけではありません。現用の大学受験は紙の問題集と相性がいい部分が多いのです。印をつけたり、直感的に該当するところを見たり、全体を見渡したり……紙には紙の良さ、本には本の良さがあるので、そこはそのまま活用しています。


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

  • 森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

    2016年10月に翔泳社へ入社し、CodeZine編集部へ配属。2017年4月からはEdTechZineの編集も兼任。前職は組み込み系ソフトウェアエンジニア。

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