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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(プログラミング教育)

ペンダントやゲーム機、社会問題を解決するシステムまで――こだわりと工夫がアピールされた、「micro:bit」の作品コンテスト

「micro:bitで作ってみよう!キッズプログラミングコンテスト」最終審査会&表彰式レポート

 小学校におけるプログラミング教育必修化を目前にして、子どもを対象とした、企業主催のプログラミングコンテストも盛り上がりを見せている。NECパーソナルコンピュータ株式会社とレノボ・ジャパン株式会社が開催した「micro:bitで作ってみよう!キッズプログラミングコンテスト」もそのひとつだ。作品は2018年12月から2019年1月にかけて募集され、1次審査を突破した8作品の最終審査会が4月3日に行われた。本稿ではその模様をお送りする。

micro:bitを使ったアイディアを募集

 子どものプログラミングでは定番となりつつある小型コンピューター「micro:bit」。LEDやさまざまなセンサーが搭載されているだけでなく、リーズナブルな価格設定も魅力だ。「micro:bitで作ってみよう!キッズプログラミングコンテスト」の名前の通り、応募する作品はmicro:bitを活用したものであることが条件となる。

 今回のコンテストは日本や世界、住んでいる町、学校、家庭などの課題や困りごとを解決するアイディアを形にする「課題解決部門」と、ゲームやアートなど制限なく自分が欲しいもの・作りたいものを自由に作る「自由部門」に分かれて募集された。それぞれの部門から4作品が最終審査に進み、当日は子どもたち自身が審査員の前でプレゼンテーションを行った。

 なお審査員は、NECパーソナルコンピュータ株式会社 代表取締役執行役員社長 レノボ・ジャパン株式会社 代表取締役社長のデビット・ベネット氏、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏、東京大学大学院 情報学環教授 越塚登氏、株式会社スイッチエデュケーション 代表取締役社長 小室真紀氏の4名が務めた。

それぞれの「好き!」が詰まった「自由部門」の作品

工作のビジュアルにもこだわった「時限爆弾」

 自由部門のトップバッターでプレゼンテーションしたのは福岡市立照葉小学校の安東鷹亮(あんどう・ようすけ)さんだ。トイレットペーパーの芯とmicro:bitを組み合わせ、爆弾に見立てたこの作品。映画のワンシーンのように、接続されたケーブルのどれか1本を外すと、爆発までのカウントダウンを止めることができる。

自身の作品を紹介するYouTubeのチャンネルも持つ、安東鷹亮さん
自身の作品を紹介するYouTubeのチャンネルも持つ、安東鷹亮さん

 「時限爆弾」という禍々しい作品名ながら、もちろん実際には爆発することはない。タイムオーバー時には脱力感のある音が鳴り、審査員の笑いを誘っていた。

 工夫した点のひとつは、トイレットペーパーの芯を使った爆弾のビジュアル。「アニメでよく見かける色合いにしました」と、こだわりポイントがアピールされた。

本物そっくり!? な、トイレットペーパーの芯で作られた爆弾
本物そっくり!? な、トイレットペーパーの芯で作られた爆弾

LEDの光が美しい「まほうのペンダント」

 続いて発表したのは滋賀県守山市立速野小学校 越智千晶(おち・ちあき)さん。映画「アナと雪の女王」のキャラクター「エルサ」が大好きで、「いつかは魔法使いになってみたい」という越智さんは、ペンダントで「光の魔法」を表現しようとした。

 しかし、「micro:bitの赤いLEDだけでは、魔法の表現がうまくできませんでした」と、制作過程を振り返る越智さん。micro:bit用の円型フルカラーLED「ZIP Halo」を見つけ、「これならできる!」と考えた。

 作品「まほうのペンダント」には、6種類の魔法が入っている。micro:bitのボタンを押して出したい魔法を選択し、ペンダントを振ると、光の魔法が輝く。その見た目の美しさに、審査員からも感嘆の声が漏れた。

 中でも特に越智さんが気に入っているのが「氷」の魔法だ。冷たい氷のイメージを表現するため、LEDの色合いや光らせ方にもこだわったという。

水ではなく氷に見える青色の表現に工夫を凝らしたと話す、越智千晶さん
水ではなく氷に見える青色の表現に工夫を凝らしたと話す、越智千晶さん
氷の魔法が光る様子
氷の魔法が光る様子

家族を想う気持ちが込められた「みんなをハッピーにするロボット『ぶるぶる君』」

 次の発表者は山形県天童市立寺津小学校 瀬野加蓮(せの・かれん)さん。転校先の寺津小学校がプログラミングの授業を先駆けて実施しており、興味を持ったという。

 夏休みの工作でロボットを作った瀬野さんは、「動かすだけではなくて、メッセージや音を出せるようにしたい」と考え、micro:bitと組み合わせることにした。それがこの作品「みんなをハッピーにするロボット『ぶるぶる君』」。きっかけは単身赴任のお父さんと離れて暮らすようになったこと。

 「お父さんは夏休みに作ったロボットを『すごいね』とほめてくれました。今度は1人で過ごしているお父さんを私が応援したくて、メッセージを伝えられるロボットを作ることにしました」(瀬野さん)

 ちなみに「ぶるぶる君」は、みんなをハッピーにするメッセージを表示するだけでなく、洗濯ばさみを用いたスイッチで自爆する仕組みも入っている。そんな遊び心も込められた作品だ。

ユーモアを交えながら自爆する様子を紹介した、瀬野加蓮さん
ユーモアを交えながら自爆する様子を紹介した、瀬野加蓮さん

本格的なシューティングゲームをmicro:bitで実現「敵を倒せ!ミサイルゲーム」

 自由部門最後の作品は、さいたま市立常盤中学校 辻健人(つじ・けんと)さんの「敵を倒せ!ミサイルゲーム」だ。

 PCゲーム、中でもシューティングゲームが大好きだという辻さん。しかし、家族と共用のPCは使える時間が制限されている上に、自分の部屋に持ち込めない悩みがあった。「そこで、いつでもどこでも遊べるゲーム機を自作することにしました」と話す。作品にも、電源スイッチの搭載やボリュームの調整など、どこでも遊べる携帯ゲーム機としてのこだわりが伺える。

micro:bitは板に固定されているので操作しやすい
micro:bitは板に固定されているので操作しやすい

 工夫されているのはハードウェア面だけではない。ブロックプログラミングを駆使して作成されたゲームのソフトウェア部分は50ものステージを選択可能だ。また、配列を駆使してミサイルの連射も実現した。

micro:bitのLEDだけで本格的なシューティングゲームを表現した、辻健人さん
micro:bitのLEDだけで本格的なシューティングゲームを表現した、辻健人さん

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身近な課題から社会問題まで――それぞれの取り組みが光った「課題解決部門」

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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