角川ドワンゴ学園 N高等学校(N高)は、同校における教務事務補助について、出勤の困難な在宅勤務希望者に限定したリモートワーク雇用制度の導入を発表。2月4日より採用を開始した。
本雇用制度での採用者は、「担任連絡補助」「学習計画作成補助」「学習システム設定・利用説明補助」といった、必ずしも教員が担う必要のない業務と、教員の業務だが、負担軽減ができる業務を担う。100%在宅勤務が可能で、ネットコースの教員と連携して事務作業等を分掌することになる。
これにより教員業務の役割分担を推進し、教員が生徒に寄り添う時間を増やすことが可能となる。さらなる生徒一人ひとりの目標達成を支援することがねらいだ。
制度開始に先駆け、2月4日には記者発表が開催された。学校法人角川ドワンゴ学園 理事、カドカワ株式会社 代表取締役社長である川上量生氏は、「通信制高校の強みを生かし、教員がリモートで勤務できる環境づくりはN高設立当初から実現したかったこと。しかし、これまでは体制を整えるだけで手いっぱいで、その余裕がなかった。2019年には学校設立から丸3年を迎えることもあり、実績と信頼が蓄積してきたからこそ可能となった」と話す。
さらに、「いくら通信制高校と言えど、教員全員がいきなりリモートワークで勤務することは難しい。まずは担任の補助業務から始め、順次リモートワーカーを増やしていきたい」と続けた。
また、学校法人角川ドワンゴ学園 常務理事、N高等学校 校長である奥平博一氏は、1月25日に取りまとめられた「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」を踏まえ、「ネットの高校であるN高は、生徒だけでなく、教員にとっても新しい形を求め続けている」と話した。
具体的には「教科学習を映像教材で提供することにより、教員はティーチングではなくコーチングに専念可能」「SlackなどのITツールを活用し活発なコミュニケーションができる」「教員の負担となる部活動は『ネット部活』として、外部から専門家の特別顧問を招いて運営」といったことがあげられ、これらはすでに実施されている。今回のリモートワーク雇用制度はこうしたN高の強みがあるからこそ実現したものと言える。
本制度における雇用形態には「契約社員」「アルバイト」があり、それぞれの詳細は以下の通りとなっている。
契約社員(教員免許取得者が対象)
- 業務内容:担任補助業務+教務事務補助業務(担任連絡補助、学習計画作成補助、学習システム設定・利用説明補助、その他事務作業)
- 勤務時間:最大8時間/日(みなし労働時間制)
- 休日:土・日・祝日
- 給与:21万(賞与なし)
- 休暇:夏季休暇、年末年始休暇、年次有給休暇、慶弔休暇、育児休業、介護休業
- 社会保険・福利厚生:社会保険完備、健康診断、休日勤務手当、振替休日制度、育児手当(条件あり)
アルバイト(教員免許取得後、契約社員登用あり)
- 業務内容:教務事務補助業務(学習システム設定・利用説明補助、その他事務作業)
- 勤務時間:9:00~18:00内で応相談
- 休日:土・日・祝日
- 給与:時給1000円~
- 休暇:夏季休暇、年末年始休暇
- 社会保険・福利厚生:社会保険完備(週30時間以上勤務の場合)
- 教員免許状取得支援:15万円/年 ※最大4年まで支給
なお、本制度ではシングルマザーを積極的に採用し、「出勤が困難な方々を支援していきたい」(川上氏)という。
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