5時間目以降:予想から調べ学習、そして発表へ
4時間目までで、テーマに対する自分の「問い」を立て、中間発表までを行いました。5時間目以降は、その立てた疑問に対する「予想」と「その理由」を考え、実際に調べ学習を進めていきます。
児童はさまざまな方法で情報を収集し、「わかったこと」をまとめ、最終的にはプレゼンテーション資料を完成させて発表するという流れになります。ただし、この記事では主にAIやVidsを活用した導入から中間発表までのプロセスに焦点を当てているため、5時間目以降の詳細な説明については割愛します。
【最後に】最小構成から始めるAI活用
今回は、Google Classroomを基盤に、複数のAIツールを連携させた総合的な学習の時間の進め方をご紹介しました。Vidsを使った手軽な動画提出や、Gemを使った対話的な振り返り・疑問出しは、特にタイピングが苦手な児童や、大勢の前での発表に抵抗がある児童の学習参加のハードルを下げることが期待できます。
もっとも、Geminiの年齢制限が撤廃された後も、さまざまな事情から児童のGeminiやNotebookLMの活用に慎重な自治体や学校があることも承知しています。それぞれの事情があるため仕方のない面もありますが、非常にもったいないことだと感じています。
たしかに生成AIには、カッターナイフや包丁がそうであるように、危険な面や心配な面もあります。しかし、使い方を正しく指導すれば、これほど便利な道具はなく、児童がこれから生きていく上で不可欠なものとなるでしょう。学校で使わなくても、いずれ家庭で当たり前に触れる日が来ると考えられます。
また、今回ご紹介した活用法は、AIに答えを生成させて終わり、というものではありません。むしろ、児童が自分の考えを深める「プロセス」において、AIをアドバイザーのように使う方法です。AIが振り返りを支援したり、疑問出しを手伝ったりすることで、従来の「ハンドコピペ」になりがちだった作業的な時間を減らし、児童がじっくりと「思考する」ことそのものに時間を使えるようになります。
大切なのは、この記事の実践をそのまま模倣することではなく、まずはご自身の環境に合わせて、少しずつでも生成AIを使った授業に挑戦してみることです。
最初からすべての手順を導入するのが難しくても、例えば「Classroomでの課題配付」と「Vidsでの動画提出」という最小構成から試してみてはいかがでしょうか。まずはツールに触れ、児童の反応を見ながら、先生方ご自身の実践を育てていくことをおすすめします。そして、もし効果的で児童にとって有益な実践が生まれましたら、ぜひさまざまな場で発信し、個人の実践から全体の知見へとシェアしていただけたらと思います。そうした積み重ねが、日本の教育におけるAI活用の分野を、より豊かなものにしていくと信じています。
私のYouTubeチャンネルでは今回の実践を動画でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。
