富士ソフトは、文部科学省の「令和7年度 次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進(最先端技術及び教育データ利活用に関する実証事業)」に採択されたことを、10月1日に発表した。教育メタバース「FAMcampus」と教育データを活用し、包括的な不登校支援を実施するとともに、非言語コミュニケーションによる心理状態改善の検証を行う。

文部科学省の調査(令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査)によると、2023年度の小中学校における不登校児童生徒数は34万6482人で過去最多となり、11年連続で増加している。文部科学省は「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」や「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を取りまとめるなど、不登校支援は依然として重要な課題となっている。
富士ソフトは、2022年に教育メタバース「FAMcampus」の提供を開始し、不登校支援における活用に取り組んできた。今回、文部科学省の「令和7年度 次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進(最先端技術及び教育データ利活用に関する実証事業)」に採択され、2022年以降4年連続の採択となった。
2025年は「メタバースと教育データ、非言語コミュニケーションを活用した不登校支援モデルの構築」をテーマに、先端技術である教育メタバース「FAMcampus」と教育データを活用し、包括的な不登校支援を実施するとともに、非言語コミュニケーションによる心理状態改善の検証を行う。
一人ひとりに寄り添う不登校支援を目指し、行政や支援組織、学校の教員などのオフライン支援関係者とも連携しながら、不登校児童生徒の学校居心地感尺度、自己肯定感尺度、KINDLQOL尺度の改善を図る。KINDLQOL(キンドル・キューオーエル)尺度とは、子どもの健康関連QOL(生活の質)を多面的に評価するために開発された国際的な指標で、身体的・感情的・社会的側面などを含む6つの領域から構成されるものとなる。
実証事業は、2026年3月19日まで実施される。GIGAスクール構想により児童生徒1人1台端末環境と高速大容量の通信ネットワーク環境が実現されたことを最大限に活かし、初等中等教育段階の教育現場が抱えている重要課題に対し、先端技術や教育データを効果的に利活用することによって解決・改善を図る取組について、教育現場と企業・研究機関などとの協働による実証などを目的に行う。
実証内容は、「教育データ利活用による包括的な不登校支援の実施」と「非言語コミュニケーションによる心理状態改善の検証」。実証校は東京都の小金井市、三鷹市、武蔵野市の小学校・中学校の不登校になっている児童生徒のうち、教育メタバースによる不登校支援を希望する者。実証には東京学芸⼤学 教授の加藤直樹氏が協力する。
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