ビズリーチと国立高等専門学校機構は、全国51校の「国立高等専門学校(以下、高専)」の学生が在学中に起業する、「高専発スタートアップ」の育成を目的とした連携協定を7月29日に締結。同日には記者発表会も開催された。

同協定により、ビズリーチは、高専の学生が在学中に起業したスタートアップの「はじめての採用」に伴走し、経営に必要な採用ノウハウの提供や助言を行う。さらに即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」での公募を通じて、人材採用の面から起業後の事業成長を支援。具体的には、副業・兼業でのCxOを公募し、リモートワークも可能とすることで全国からの応募を促進する。これらの取り組みにより、全国の高専発スタートアップの成長を促進し、高専を起点とした地方創生への寄与を目指していく。
記者発表会に登壇した、国立高等専門学校機構 理事の梶山正司氏は、まず高専の特色について紹介。高専はハードウェアをはじめとした「ものづくり」に強みがあり、それらを活用して社会課題の解決を行う「ことづくり」を目指した教育に取り組んでいることを説明した。

具体的には、地域課題を解決するためのアントレプレナーシップ(起業家)教育に注力しており、2020年4月から2025年3月の間には、卒業生を含めて22校から37社の高専発スタートアップが誕生している。
その一方で課題もあるという。事業を拡大していくにあたっては人材採用が欠かせないが、学生にはその経験がなく、教職員についても知財や経営面での知見が不足している。こうした課題の解決に向けてビズリーチのノウハウ等を活用し、今後5年間で51校すべての国立高専での起業を目指していくとした。

続いて登壇した、ビズリーチの加瀬澤良年氏は「高専にはスタートアップが生まれやすい2つの要素がある」と述べる。

1つ目は「社会課題が身近にある」こと。高専は全国各地に設置されており、地方は人口減少や少子高齢化などの「課題先進地域」とされている。これにより、社会貢献型のスタートアップが生まれやすい土壌があるという。
2つ目は「実践的な教育が進んでいる」こと。スタートアップに欠かせない、多様な領域の最先端技術を学ぶことができるため、即戦力となる人材が次々と生まれているという。
加瀬澤氏は「こうした高専発スタートアップが成長すれば、日本の社会課題の解消や次世代の新たな産業の創出が可能になるのではないか」と期待を寄せた。
国立高等専門学校機構の理事長である谷口功氏も「世の中がめまぐるしく変わっていく中で、人の役に立てるような人材をスピード感を持って育成していかなければならない」と話す。そして今回の連携を機に、さまざまな人々の力を借りながら、より多くの高専発スタートアップスタートアップ創出に向けて尽力していくと意気込みを語った。

なお、同協定による取り組みの第1弾として、7月29日より香川高等専門学校発のAI企業である株式会社D-yorozuが、転職サイト「ビズリーチ」上で副業・兼業CMO(最高マーケティング責任者)の募集を開始した。同社 代表取締役CEOの柏原悠人氏は「私たちは香川県や瀬戸内地域に根差して課題解決をしていく。その方針に賛同していただける方を採用したい」と述べた。

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