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特集記事(大学の新しい挑戦)

東京理科大学「科学コミュニケーション学科」が目指すものとは? 科学と社会の架け橋となる人材を育成

東京理科大学 教育支援機構 教職教育センター 渡辺雄貴教授 インタビュー

 140年以上の歴史をもち、日本における理工系私立大学として、研究力と教育力において高い評価を受ける東京理科大学。2026年度、その理学部第一部に「科学コミュニケーション学科」が新設される。多くの情報があふれた現代に必要な「科学技術を広く社会に伝える」人材の育成を目指し、開設が決まったという。どのような問題意識のもと、新学科の設立に至ったのか。また、具体的にどのようなカリキュラムが準備され、学生はどんな学びを得られるのか。同学の理学部第一部科学コミュニケーション学科 設置準備ワーキンググループ 主査を務める、教育支援機構 教職教育センターの渡辺雄貴教授に話を伺った。

東京理科大学 教育支援機構 教職教育センター 渡辺雄貴教授
東京理科大学 教育支援機構 教職教育センター 渡辺雄貴教授

影響力を増す科学技術──大学が果たすべき使命も変わりつつある

──2026年4月、東京理科大学 理学部第一部に「科学コミュニケーション学科」が誕生します。開設の経緯を教えていただけますか。

 理学部は本学で最も歴史の古い、伝統的な学部です。現在、基礎系といわれる数学科、物理学科、化学科と、応用系の応用数学科、応用化学科の5学科があります。そして今回、新たに「融合系」として科学コミュニケーション学科を開設することになりました。

 東京理科大学はその名の通り、理工系に属する学問領域をすべてカバーしています。「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神を掲げ、理系の学問のエッセンスを使って学問体系を成しています。その中で、昨今議論に上ってきたのが「『理学の普及』という大学の使命を果たすために、今の時代の変化に合わせてやるべきことは何だろうか」ということでした。

 今、理学を取り巻く環境は激しく変化しており、AIの普及をはじめ、科学技術は影響力を拡大しています。特に、一部では環境問題やワクチンに関する議論などの場面において科学者の話が正しく伝わらず、科学への信頼が揺らぐケースが増えています。また、科学技術の研究・開発によって生じる、倫理的・法的・社会的な課題「ELSI(エルシー)」も無視できません。

 現代においては、科学と社会の新しい関係の構築が求められているのです。これまで本学の「理学の普及」は先端的な研究を行うことでしたが、今後は「市民レベルにおいて、理学や科学を普及させるにはどうすべきか」を考えていかなければなりません。

 そこで必要となるのが、さまざまな観点で理学や科学を「伝える」「議論する」ことです。現代社会において必要な人材を育成するために、メディアや情報、コミュニケーションについて研究すべきだと考えました。これが、科学コミュニケーション学科が誕生した背景です。

──科学コミュニケーション学科では、具体的にどのような授業カリキュラムを予定していますか?

 「科学コミュニケーション」という名を冠するからには、学ぶのは「科学だけ」でも「コミュニケーションだけ」でも不十分です。

 学生は、軸足となる専門分野を見つけて研究しつつ、その隣接領域の学問も学ばなければいけません。それに加えて、コミュニケーションについても学べるように、4年間のカリキュラムを設計しています。

科学コミュニケーション学科のカリキュラム(東京理科大学 同学科紹介パンフレットより引用)
科学コミュニケーション学科のカリキュラム(東京理科大学 同学科紹介パンフレットより引用)

 1年次には幅広い理学領域を学んだうえで、2・3年次に「情報・データサイエンス」「数理(数学)」「理科(物理学、化学、生命科学)」の3つの専門分野から自分の興味のある領域を専攻してもらいます。

 また、全学生がデータサイエンスを学ぶカリキュラムを用意します。ここでは、データサイエンスそのものではなく、データサイエンスを手段として活用するための、目的を持ったデータの取り扱いを学びます。というのも、データサイエンスそのものを学びさえすれば道が開けるわけではありません。あくまでデータサイエンスはツール・手段であるため、軸足となる専門領域が重要です。

 コミュニケーションに関しては、理論と実践の両面から学べる授業を想定しています。1年次に理論を習得したうえで、2年次以降は実習として、実際に市民の方々に科学を伝えていく実践的なカリキュラムとなっています。

 科学コミュニケーション学科のカリキュラムのほとんどは新設科目で、その授業はアクティブラーニング形式で行われます。インプットした知識を自分で分析したり統合したりしながら、最終的には問題解決や意思決定などのアウトプットにつなげていきます。

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科学技術を広く社会に伝えるには「正しい発信」だけでは難しい

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

 IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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