eboardは、開発・実証を進めている、生成AIを活用した「やさしい日本語」化ツールについて、2025年度における同ツールの実証に協力可能な学校・教育現場の募集を、6月12日より開始した。

eboardでは、2020年より、ICT教材「eboard」の映像授業約2000本に「やさしい字幕」を付与する取り組みを進めてきた。やさしい字幕は、ろう・難聴の子、外国につながる子、学びの困りごとを抱えた子を主な対象に、学習のハードルが下がるよう編集された字幕となる。
この活動の知見を活かし、やさしい日本語への自動変換ツールの開発および実証を進めている。なお、この取り組みにあたっては、トヨタ財団およびセールスフォース・ジャパンからの支援を受けている。
同ツールは、学校で使われるプリントや指示、連絡事項などの文章を、日本語指導が必要な子どもたちや、読み書きに困難のある子どもたちにも理解しやすい、やさしい日本語に変換することを目的としている。将来的には、多言語への翻訳機能の搭載も視野に入れている。

やさしい日本語化ツールは、外国につながりを持ち日本語の習得に時間を要する子どもや、聴覚情報よりも視覚情報からの理解が得意な子ども、読み書きに困難があり、文章の読解にサポートが必要な子どもたちの学習支援に、特に効果を発揮することが期待される。
同ツールの活用場所として、日本語の指導を必要とする児童生徒が在籍する、または入学する可能性のある小学校、中学校、高等学校や、多様な学習ニーズを持つ子どもたちが学ぶ特別支援学級や通級指導教室、フリースクール、学習塾などを想定。さらに、外国人集住地域、または今後外国人住民の増加が見込まれる地域の教育委員会および学校・教育現場での活用も想定している。
2024年度に実施した実証実験では、協力先の学校現場から、次のような活用例や効果が報告されている。
- 授業プリントのやさしい日本語化:教員が作成した授業プリントをツールで変換し、日本語指導が必要な児童に配布したところ、内容理解度が向上し、授業への参加意欲が高まった
- 連絡帳や学級通信の翻訳補助:保護者向けの連絡事項をやさしい日本語に変換し、さらに母語への翻訳(実証段階の機能)と併用することで、日本語が得意でない保護者とのコミュニケーションが円滑になった
- 学びにくさを抱える子の意欲向上:自閉傾向による語彙の乏しさから文章を読むことが嫌いだった子が、ツールにより好きなバレーボールへの知識を深め、試合で審判にまでチャレンジできるようになった
今回、2025年度の実証に協力できる学校・教育現場の募集を開始する。実証の目的は、同ツールの教育現場における有効性の検証、および機能改善・精度向上に向けたフィードバックの収集。対象は、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、フリースクール、学習塾、教育委員会、その他教育支援機関などで、外国につながる子または読み書きに困難があるなど特別支援が必要な子が在籍する団体とする。協力内容と提供内容は次のとおり。
協力内容
- eboardが提供するやさしい日本語化ツール(Webアプリケーション)の利用
- ツール活用に関する定期的なフィードバック(アンケート、ヒアリングなど)への協力
- (可能な範囲で)活用事例の共有
提供内容
- やさしい日本語化ツールの無償提供
- 活用に関するサポート、研修機会の提供
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