リクルートは、同社の運営するリクルート進学総研が、高校の教育改革に関する現状を明らかにすべく、全国の全日制高校を対象に実施した、新学習指導要領、入試改革、ICT活用、キャリア教育、進路指導、学校改革といった取り組みに関して調べた「高校教育改革に関する調査2024」の結果を、1月9日に発表した。同調査は、全国の全日制高等学校4679校に対して、2024年9月5日〜20日の期間に行われ、671件の有効回答を得ている。
調査結果によれば、新学習指導要領への対応については、授業、教材どちらも「計画通りに進んだ」という回答が8割前後を占めており、時系列でも「計画以上」と「計画通りに進んだ」を合わせた割合が増加した。課題感のある教科については「特になし」が30%で、「情報」について課題を感じている学校が41%でもっとも多い。また、文系・理系コースに「わかれている」と答えた学校は68%で、2022年の調査と比較して大きな変化はなかった。
総合的な探究の時間への取り組みでは、9割の高校が総合的な探究の時間を導入していると回答。導入校で、取り組みにあたってのもっとも難しいと感じるステップは、「課題の設定」が6割強を占めている。総合的な探究の時間への取り組みによる生徒の変化としては、「主体性・多様性・協働性が向上した」(14%)が最多だった。また、総合的な探究の時間への取り組みによる教員・学校の変化としては、「地域など校外との関係ができた/深まった」(20%)がもっとも多かった。
調査対象となった高校の99%が、ホームルームや探究といった教育活動にICTを活用しており、具体的なICT活用方法・活用シーンは「宿題・課題の配信」(92%)が最多となっている。ICT活用への取り組みによる生徒の変化としては「主体性・多様性・協働性が向上した」(38%)、「学びに向かう姿勢・意欲が向上した」(37%)が、教員・学校の変化としては「授業の質が向上した」(56%)が上位となった。
学校内の業務における生成AIの活用状況をみると、回答は「教員個人で活用している」(50%)と「使い始めていない(活用はまだこれから)」(46%)に二分される。生成AIの活用場面としては、「授業教材やテスト問題の作成」(43%)がもっとも多く、以下「挨拶文や保護者向けお知らせ文書の作成」(33%)、「課題の採点や添削」(25%)が続いている。
進路検討におけるオープンキャンパス参加の推奨度は96%に達しており、「強く推奨している」という回答が6割超に達した。
入試の早期化については、「あまり好ましくない」と「非常に好ましくない」を合わせた割合が63%に達している。
これからの社会が「好ましい社会だ」とする割合は、2021年調査時の6割には届かなかったが、2022年よりも増加した。さらに、今後の社会で特に必要とされると思う社会人基礎力を尋ねたところ、「主体性」「課題発見力」が上位となった。しかしながら、現在の高校生にこれらの力が「備わっている」と感じる割合は低い結果となった。
進路指導上の課題としては、「入学者選抜の多様化」(62%)が最多となり、以下「教員が進路指導を行うための時間の不足」(60%)、「学習意欲の低下」(55%)が続いている。
キャリア教育には対象の96%が取り組んでおり、2022年との比較でみると「学校全体」での取り組みが4ポイント増加した。一方で、「学年や課程・学科・コース単位」での取り組みは10ポイント減となり、「組織的対応」の合計は6ポイント減少して85%となった。そのほか、キャリア教育の今後の課題は「教員の負担の大きさ」が66%となっている。
教員の学校内業務のうち、もっとも時間がかかる業務は「授業準備」(30%)で、「部活指導」(19%)、「教材研究」(14%)がそれに続いた。ICTの活用によって、もっとも業務時間が削減されたと思う業務を尋ねた質問では、「採点」(27%)が最多となり、「授業準備」(15%)がそれに続いている。その他の業務は1割未満に留まり、「特になし」という回答は24%に達した。
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