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イベントレポート(ICT活用)

学習者中心の「探究」のあり方とは? 瀬戸SOLAN学園初等部における学びの姿

「第13回 次世代Classフォーラム」レポート

全教科の先生が学年横断で2コマ連続の個人探究を「支援」

 公開された「個人探究」の授業は、全学年横断かつ2コマ連続でじっくりと活動に取り組めるような時間になっていた。このため、教職員も学年や教科の枠を超えて同じ時間で児童たちの探究を「支援」できるようになっており、さまざまな大人と児童が同じ目線で学んでいる様子を見ることができた。

 個人探究を行う舞台は、吹き抜けのある、非常に広いホールのようなスペース。明るく開放的で、どの場所でも無線LANが飛んでおり、児童は1人1台の学習用端末を自由に携行しながら、広いスペースを縦横無尽に動いて学んでいた。中央のホールを取り囲むような形で図書室や家庭科室などの特別教室が配置されており、個人探究の時間ではこうした特別教室も自由に使えるようだ。図書室では文献を探す児童や教職員がいたり、家庭科室では(個人探究の中で調理を伴う課題に挑んでいる児童が)教職員が見守る中で調理実験をしたりする様子を垣間見ることができた。

 なお、あくまで「個人」探究の時間ではあるが、自然発生的に「チーム」のようなものができるケースもあるようだ。以下の写真は、比較的近いテーマを扱っている異学年の児童同士が一緒に探究を進めている様子だ。この写真には左側に一対一で大人からの指導を受けている児童と、大人に相談しつつ複数のメンバーで役割を分担しながら探究を進めようとしている児童たちの様子が写っている。

「個人探究」でありながら、比較的近い領域を扱う児童たちは学年を超えて一時的な「チーム」のようなものを作り、それを複数の大人がサポートする方式で学んでいた
「個人探究」でありながら、比較的近い領域を扱う児童たちは学年を超えて一時的な「チーム」のようなものを作り、それを複数の大人がサポートする方式で学んでいた

 同校の探究学習の「顔」とも言える三宅貴久子教諭も、児童の近くで探究を「支援」をしていた。探究に励んでいる児童のすぐ横で、いつでも声をかけてもらえるように学びを見守っている。決して「指導」を行うのではなく、児童自身からの問いや相談を待ち、求められたときに最適な支援をしていた。「答え」を教えるのではなく、視点や思考の起点となる内容を伝える「学びの補助線(あくまで学ぶのは児童自身)」を提示したり、時には隣にある図書ブースから図鑑を取り出したりしながら、児童の横で一緒になって調べる三宅教諭の姿もあった。

個人探究をしている児童の側で「支援」を行う三宅教諭。手元にはホワイトボードやメモなど、学びの補助線を提示するためのさまざまなツールが見える
個人探究をしている児童の側で「支援」を行う三宅教諭。手元にはホワイトボードやメモなど、学びの補助線を提示するためのさまざまなツールが見える

 空間を見渡して感じたのは、児童の数に対して支援をする教職員の数がかなり多いということ。感覚的には3人の児童に1人以上の「大人」が学びの支援に参画していた。同校の教職員にお話を伺ったところ、実は個人探究を支援している大人の中には地域の方や保護者も一部含まれているとのことだった。この取り組みは保護者として学校の様子を知ることだけでなく、子どもたちの学びにも間接的に関わることによって、学校の大切にする学びのあり方や子どもの成長を知る機会にもなり、(ある程度の運営のノウハウも必要そうではあるが)非常に面白い仕組みだと感じた。

個人探究をしている児童に対して、同じ目線で大人が接している場面が多いことも印象的だった。先生と児童というよりも、1人の人間として学んでいる児童を尊重していることが伺える
個人探究をしている児童に対して、同じ目線で大人が接している場面が多いことも印象的だった。先生と児童というよりも、1人の人間として学んでいる児童を尊重していることが伺える

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SOLAN式の「探究」で学んできた6年生による「発表」と「提案」

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この記事の著者

野本 竜哉(EduOps研究所 代表)(ノモト タツヤ)

 情報工学修士。高校生時代に自身が1人1台の端末環境で学んだ経験を世に広げるべく、通信企業の学校SE、教育企業の管理職、教育系システム会社の執行役員を歴任し、一貫して教育×ICT領域の事業に従事。2024年8月に独立し「技術をやさしく伝える」をモットーとした教育現場の取材・執筆・情報発信活動の傍ら、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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