「情報 I 」の配点は決して低くはないが、生徒の意識はまだまだ不十分
いよいよ来年の共通テストから、「情報 I 」が新たに試験科目に加わります。学習塾の現場ではこれまで「情報 I 」とどのように向き合い、対策を講じてきたのか。九州北部エリアを中心に展開する学習塾「全教研」の坂本哲也氏は、「まずは『情報』という教科の重要性を生徒や保護者に伝えていくことが重要である」と述べます。
「2年前に新課程がスタートした時点では、正直なところ情報 I の重要性をそこまで認識できていませんでした。配点もまったくわからず、各大学が本当に試験科目として採用するのかどうかもわかりませんでした。ちょうど昨年末(2023年末)ぐらいから徐々に配点などが発表され始め、これは重要な科目だと認識しました。例えば九州大学の工学部では共通テスト全体の配点に占めるウェイトが13.5%、法学部は14.3%と、これだけ大きいのです。情報 I に関して、われわれのような塾・予備校の職員は専門外の部分もありますが、全教研では生徒さんの合格可能性を最大化することをミッションに掲げ、普段から接してきました」(坂本氏)
重要性が指摘される一方、同学習塾で理科・物理を担当する押川剛士氏は、「情報 I 」を軽視しがちな現状について、「まだ情報 I への意識が浅い生徒も多く、入試初年度ということもあって現実を感じづらい部分もあるのかもしれない」と指摘。生徒が「情報 I 」の重要性を実感するのは、模試で点数が取れなかったとき、要はプログラミングの問題に苦戦したときであり、「『情報 I 』の大切さを伝えることはかなり難しい」と話します。
「1、2回お話しただけでは完全に伝わらないですね。高校3年生でも4月から5月ごろは、まだ自分ごととして受け止められていませんでした」(坂本氏)
「初年度ということもあるのか、高校3年生でも現実感のない生徒はいますね。『情報 I への取り組みで合否が分かれた』という前例を見ていれば違うのかもしれませんが、情報 I の大切さをいかに伝えるかというのはかなり難しいです。説明会を何度も開いています」(押川氏)
また「情報 I 」の授業を受講していても、自分の目の前にあるほかの科目にどうしても目がいってしまい、自分で学習進捗を管理できない生徒もいると押川氏は言います。
「進捗管理が難しい生徒には声かけを徹底し、学習進度の管理やサポートを行っています。私たちはライフイズテックの情報AIドリルを導入しており、その機能で誰がどのくらい進めているか、あるいはどのくらい休んでしまっているかなどを確認しています。『情報 I も大事』ということが頭の中にあったとしても、誰かに背中を押されないと、自分の目の前にあるほかの科目にどうしても目がいってしまうようです。講師は目標から逆算したサポートを意識しています。サポートには限界がありますが、直近で聞いたところでは、継続的な学習と講師のサポートによって、情報 I の模試で20点ほど点数が上がった生徒もいました」(押川氏)