クジラボは、全国の小学校・中学校・高校・特別支援学校に勤務する、20〜60代の教員を対象に実施した、教職調整額の引き上げ案に対する定量調査の結果を、11月26日に発表した。同調査は、11月15日〜23日の期間に行われ、259名から有効回答を得ている。
調査対象者に、教職調整額が増えることで教員になりたい人が増えると思うかを尋ねたところ、「喜ばれるとも増えるとも思わない」(33.2%)と「喜ばれるが、増えるとは思わない」(62.5%)を合わせた割合が約96%に達した。時間外勤務手当を支給しない代わりに、基本給の4%を一律で加算するという教職調整額の引き上げは、「教員のなり手不足解消」には結びつかないと考えている教員が多いことが明らかになった。
教員の仕事を辞めたいと思ったことがあるかを尋ねた質問では、「辞めたいと思ったことがある」とする回答が97.9%を占めている(「頻繁に思う」「しばしば思う」「1~2回ほど思ったことがある」の合算)。その理由(複数回答)としては、「長時間労働や休日、出勤などの業務量に対する負担」(68.9%)がもっとも多い。一方で、「給与や待遇面」を理由に教員を辞めたいと思ったことがある人は35.3%となり、ランキングでは下位にとどまった。
「教員の仕事を10年後も続けたいと思わない」と回答した人(調査対象者の52.9%)に、どのような制度やサポートがあれば、教員を続けたいという気持ちが高まるかを尋ねたところ、「教育に直接関わらない業務の軽減・削減」(49.6%)が、他を大きく引き離して最多となり、「給与や待遇の改善」(14.6%)が35ポイント差で続いている。
同じく、「教員の仕事を10年後も続けたいと思わない」と回答した人に、教職調整額が増えることで教員を続けたい意向に変化が生まれるかを尋ねた質問では、「変化は生まれない」という回答が83.9%を占めた。
すべての調査対象者に、財務省案が可決された場合、働き方改革が進むことに期待が持てるかを尋ねたところ、「期待は持てない(現状は変わらないと思う)」という回答が83.0%を占めている。
財務省案が可決されても、働き方改革の進展に「期待は持てない」と回答した人に、その理由を自由に答えてもらったところ、「業務量は変わらず、結局仕事を家に持ち帰ることになるから」「教員が従来の働き方にやりがいを待っており、働き方を変える工夫を進んで取り組んでいないため」「学校現場はいつも変化が遅い、もしくは変化を嫌う傾向にあり、新しいことを取り入れるには時間がかかる」「会議の短縮やペーパーレス化などによる業務の削減への対策の方が急務だと思う」といった意見が寄せられた。
そのほか、教職調整額引き上げに対しては、「残業しなくても済む業務体制や人員配置の改善が優先されるべき」「労働時間や業務量を管理できる制度と人材の育成が急務だと考えます」「調整額を引き上げるお金があるなら、部活動指導案や定期テスト作成業者などの別のところに当ててほしい」「引き上げ=現状容認は避けてほしい。業務外の仕事を教員の負担から外す実効的な改革をセットにしてほしい」といった意見が寄せられている。
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア