なぜ黒板メーカーが「先生が主役の音楽フェス」を開催したのか?
──まず、黒板メーカーであるサカワが、先生が主役の音楽フェス「SENSEI SONIC」を開催することになったきっかけを教えてください。
坂和寿忠氏(以下、坂和):最初のきっかけはある社員からの「先生のすごいところにフィーチャーし、盛り上げるイベントをやってみたい」という提案でした。僕も同じ気持ちで「いつか開催してみたい、でもどのようなテーマでやればいいかな?」と考えていたのですが、サカワにはミュージシャンである藤森さんがいるので、音楽イベントをやってみたらおもしろいと思ったんです。
藤森真一氏(以下、藤森):最初は社長と2人で「できるかもしれない」と話していたのですが、ほかの部署の人たちもみんな賛同してくれて。背中を押してくれました。
坂和:でもやっぱり、藤森さんの存在はかなり大きかったですよ。僕は音楽のことに関してまったくの素人ですが、藤森さんが「できる」と言ってくれたことで勇気づけられましたね。
──SENSEI SONICは、教育関係者向けのイベントとして非常にユニークですよね。学校の先生のパーソナルな部分を前面に出すイベントは、これまであまりなかったのではないかと思います。
坂和:「いつもとは違う先生の一面を見せたい」という点は意識しました。僕たちは普段、学校の先生と向き合う機会が多くありますが、みなさんとてもおもしろくて、魅力的な方々ばかりなんです。でも、世の中では「人に教える仕事で、真面目」という部分ばかりが切り取られてしまい、ネガティブな報道も相まって「なりたくない職業」「重労働で、責任ばかり負わされる」といったように社会的なイメージも落ちてしまっています。
また「教育」の話をする際、もちろん子どもたちのことを第一に考えるのも大切なのですが、「いい教育」は先生がいるからこそ実現するものです。ですから、教育を下支えするためにも「学校の先生という職業を改めて盛り上げなければ」と考えています。そして、教室で先生の近くにあるもののひとつが黒板です。だからこそ「黒板屋である僕たちが先生の力になりたい」という想いはずっと前から抱いていました。