リーディングDXスクール生成AIパイロット校として生成AIを積極活用
千代田区立九段中等教育学校は、東京都千代田区の公立の中高一貫校です。教育DXに積極的に取り組んでおり、中学1年生(1年生)から高校3年生(6年生)まで、1人1台の「Surface Pro」が貸与されています。学習プラットフォームとしては「Microsoft 365」を導入しており、Microsoftのアカウントからシングルサインオン(SSO)で「Adobe Creative Cloud」を利用できるようになっています。
本校は、文部科学省の「リーディングDXスクール生成AIパイロット校」の指定校となっています。これは、文部科学省が令和5年7月に公表した「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を踏まえ、パイロット的な取り組みとして、教育活動や校務において生成AIの活用に取り組む学校が指定されるものです。本校は、令和5年夏から指定されています。
具体的な取り組みとしては、OpenAI社のAPI機能を使って、学校内でGPT-4を年齢制限、利用回数制限、機能制限なく利用できる校内GPTを構築しています。生徒が入力したプロンプトはOpenAI社に共有されることはなく、機械学習のデータとして利用されないため、安全・安心な環境で全生徒がGPTを使うことができます。校内GPTは、授業などで生徒が使う教育利用に限らず、校務にも生成AIを活用できます。
なお、昨年度は準備期間として、高校1年生(4年生)のみが生成AIを活用しました。そこでの学びを通して今年度から全校に展開しており、新年度当初に全生徒へ向けて、生成AI活用についてのガイダンスを各クラスで実施しています。ここで生成AI全般の注意点や、新しい技術を効率的に活用する方法などについて学びました。
情報Ⅰの総まとめとして、コンテンツ制作の総合実習を行う
紹介するのは、高校1年生(4年生)が履修する「情報Ⅰ」の授業の「コンテンツ制作(WebデザインPBL)」での生成AIの活用事例です。本校では、ほかの科目と学習速度を合わせて効率的な学習ができるようにカリキュラムマネジメントをしており、一部学習指導要領で書かれている順番とは入れ替えて年間の授業を計画しています。
例えば、データ活用については「総合的な探究の学習」と連携させ、情報では夏休み前に取り組みます。その分「情報デザイン」が年度末となり、情報Ⅰの年間の総まとめの位置づけで、コンテンツ制作をPBLで実施しています。
コンテンツ制作では、3~4名で1グループになり、グループごとにコンテンツ制作を行います。今回のテーマは、架空の中高一貫校の学校のWebサイト制作です。デザイン思考の考え方にのっとって、ペルソナの共感マップの作成、ユーザーのウォンツ、ニーズを整理して、解決するべき課題をグループごとに分析します。ユーザーは、受験生である小学6年生とその保護者です。そこから学校のビジネスモデルを構築します。その後、広報としてのWebサイトに載せる情報をリストアップして整理してサイトマップを作ったり、ワイヤーフレームを作ったり、配色設計をしたりするなど、グループでアイデアを出して相談しながら決めていきます。
この計画部分まではグループ全員で進めますが、その後はグループメンバーの役割を決め、それぞれのタスクを担当します。役割は次の4種類です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクト全体の管理を行う。制作する学校のWebサイトの企画書を作成し、全体のタスク整理、割当、進捗管理、テストを行う。
ライター
Webサイトに掲載する内容を調査し、テキストのライティングを行う。
デザイナー
ワイヤーフレームの作成、Webサイトの配色、素材調達・作成を行う。
コーダー
Webのコーディングを行う。