生成AIの要約から、自分で考えることの大切さを経験
今年で13回目になる東京学芸大学附属小金井小学校の「KOGANEI授業セミナー」は、「考えよう!これからの授業」をテーマに、2年生から6年生まで、国語・社会・算数・理科・音楽・図工・体育・ICTの授業が行われ、一部はオンラインでも公開された。対面の参加には600人以上の教育関係者からの申し込みがあり、同校の取り組みへの関心の高さがうかがわれた。
ICTの授業は、1時間目に4年生の国語、2時間目に2年生の特別活動が実施された。ちなみに、2年生担任の小池翔太氏が病欠となったため、4年生担任の鈴木秀樹氏が2クラスを続けて担当した。
4年生の国語では、最初に前時までの振り返りをした後、説明文「ウナギのなぞを追って」を教材とした授業を行った。文章を読んで内容を整理しながら、自分の興味関心のあることを見つけ出し、文章を要約したり説明したりすることを学び、対話によって他者との違いを見つけながら自分の考えを深めていく。
鈴木氏は、この授業に生成AIの「ChatGPT」を使用。以下のプロンプトを使用して、3種類の要約文を作成した。それを児童に提示し、「この○○○に入るものは、それぞれ何か」を班ごとに考えさせた。
この文章は、小学校4年生の国語の教科書にのっているものです。
この文章を元にして、「○○○」に興味をもって要約文を作成してください。
要約は、難しい表現はさけ、この文章に出てくる表現や文章を中心に、小学校4年生が書くような文体で書いてください。
ちなみに、この3種類の要約を生成するにあたっては、前の質問の影響を受けないように、要約ごとに質問を終了させて、個別に作っていったという。
児童は、配付された要約文のプリントとデジタル教科書の文章を見比べて手がかりを探し、友だちと真剣に話し合っていた。その後、班ごとの意見を発表したところ、それぞれ意見が異なる結果となった。その後、鈴木氏がプロンプトに入れた3つの言葉を発表すると、児童たちからは疑問の声が多数上がり、中には「その言葉は要約文の中に出てこない」といった意見も出た。
そこで鈴木氏は「AIの要約がわかりにくいということであれば、どのように直したらよいか」と、児童に問いかけ、ここからまた班ごとの考察の時間に入った。今度はAIが要約した文章をどのように直せばよいのかについて、熱心に話し合う姿が見られた。
最後に、児童から出た修正のアイデアを全員で共有したところで、鈴木氏は「このように、改良したほうがいいところがたくさんあった。生成AIは便利だけれど、丸々使えるわけではない。本当にそれでいいのか、自分で考えることが大切」と伝え、授業を終えた。