夏休みに教員がプログラミング教育について学ぶ場
「プログラミング教育 明日会議2023」を主催したのは、東京都国公立小学校教員と都内教育委員会の指導主事で構成された「東京都小学校プログラミング教育研究会(都小プロ研)」だ。同研究会は、プログラミング教育の推進・充実をはかることを目的に2019年4月に設立され、東京都教育委員会から東京都教育委員会研究推進団体として認定されている。
今回のイベントは杉並区立方南小学校を会場に、一部オンライン配信によるハイブリッド形式で開催。みんなのコードの利根川裕太氏による基調講演と、プログラミング教育を推進・実践する教員のコミュニティType_T(タイプティー)による教員向けワークショップが行われた。なお、同日の午前中には、子ども向けプログラミングのワークショップも開催され、多くの小学生が参加したという。
イベントの冒頭には、都小プロ研の会長を務める杉並区立方南小学校 校長の竪山浩人氏が登壇し「GIGAスクール構想で進むかと思えたプログラミング教育だが、現実はその手前である『1人1台端末をいかに使っていくのか』が、現場の第一の課題になってしまっている」と語った。
その上で「最近は、教育における生成AIの取り入れ方が議論されており、先の見えない時代に入ってきている。これから先、プログラミング教育をどのような形で進めていくのか、1人1台の端末をいかに日常的に使っていくのかなど、対応しなければいけない課題は多い。今日の明日会議を、それらを考えるひとつのきっかけにしてほしい」と参加者に伝えた。
これからのプログラミング教育は「能力の定着化」がポイント
続いて、みんなのコードの代表理事である利根川裕太氏が基調講演を行った。
利根川氏は最初に、みんなのコードのビジョンである「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」について語りながら、日本の現状を解説した。「『誰もが』という言葉には大きな思いが込められている。経済環境や男女などの区別なく、誰もがテクノロジー教育を受ける機会を持ってほしい」と話した。
みんなのコードでは全国の学校教育における実態調査を行っており、最新の「2022年度 プログラミング教育・高校「情報Ⅰ」実態調査」が8月に公開された。それによると「多くの教員は、2年前より着実にプログラミング教育に取り組んでいる反面、情報活用能力の育成については、現行の教育課程では不足感がある」という。さらに利根川氏は、小中高の連携を課題のひとつに挙げ、「これからは小中高の校種間で認識を合わせた上で、ただ『情報教育をやっている』だけでなく『ちゃんと能力として定着しているのか』が、より求められる」との見解を語った。