河合塾は、全国の高校と大学の教員・教授を主とした教育関係者を対象に、教育現場でのChatGPTなど生成AI技術の活用に関するアンケート調査を実施。その結果を6月16日に発表した。同調査は、5月15日~31日の期間に行われ、139名から回答を得ている。
調査対象者に、生成AIの利用経験を尋ねたところ、生成AIを利用したことが「ある」という回答が64%を占めた。生成AIを利用した感想としては、簡単な文章構成、要約、コードのスクリプトといった生成能力の高さを評価する一方で、とりわけ「固有の事象」「専門的な知識」「個性が必要とされる文章」などのケースで、内容に対する信頼性の薄さや、内容を精査する労力、生徒・学生が安易に使用することへの懸念といった意見が寄せられている。
具体的な利用方法としては、「文書作成の試行」といった「お試し利用」がもっとも多く、学校ならではの活用法といえる「問題・教材作成」がそれに続いた。しかしながら、大半は「調べもの」「アイデア出し」「校内文書作成」といった、教員の事務作業などの効率化を目的とした活用が多い。また、「推薦書・志望理由書等」はメディアでも取り上げられたこともあり、実験的に試してみた教員が多かったことがうかがえる。ただし、内容のできについては「最低限」という評価で、「個性が出るような文章を書くのは難しい」という意見も寄せられた。
生徒や学生への利用についての考え方について尋ねた質問では、「自由に使うべき」は約3割に留まり、「一部制限を設けるべき」または「禁止するべき」が約6割を占めている。「自由に使うべき」と答えた理由としては、「制限・禁止のしようがない」が最多となり、「今後社会で活躍するために不可欠」「使うこと自体が学習になる」といった、生成AIの有用性を認め共存的な活用を前向きに検討する意見が寄せられた。一方、「一部制限を設ける」「禁止するべき」と答えた人からは、「情報リテラシーの不足」「著作権侵害」「情報流出の危険性」をはじめとして、自ら考えて創造する力や学習に向かう姿勢が身につかなくなるといった意見が寄せられている。
生成AIの利用に関する方針が出ているかどうかを尋ねたところ、方針が「出ている」という回答は全体で2割未満となり、高校よりも大学が「出ている」という回答は多い。利用方針については、「生成AIで作成した文章をそのまま自分が作成したものとして提出してはならない」「個人情報を入力しない」「著作権の侵害に注意」といった内容となっている。
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア