みんなのコードは、全国の学校現場とともにAI教育を含む情報教育の実証研究を行ってきた知見をもとにまとめた、「生成AIの初等中等教育でのガイドライン策定に向けた提言」を4月20日に発表した。
同法人は、文部科学省が予告しているガイドライン策定にあたって、AI時代を生きていく子どもたちがAIによってもたらされるメリットを学ぶ機会を十分に享受できるようにすることが望ましいと考える。一方で、昨今の報道などから考慮すべき重要な観点が不足していると指摘する。
とりわけ、ChatGPTをはじめとした生成AIについては、その脅威や留意点が過剰に強調されていると感じており、メリットに注目している場合も「いかに活用するか」という表面的な議論が先行している、との見方を示した。
同法人では、こういった現状を受けて、これまで行ってきた学校現場での実践を踏まえた、特に生成AIの初等中等教育でのガイドライン策定にあたって考慮すべき観点として、以下の3つを挙げている。
「観点1」では、AIを「人間が楽をするため・人間の思考活動を脅かすもの」という前提のみで捉えてしまうと、AIのメリットを十分に享受することは困難だ、との考えから、これからの時代はAIと人間が共存することでお互いの強みを活かせるようになり、人間のより高度な知的生産が実現すると提言する。
「観点2」では、「課題の発見・設定」や「導き出された答えの判定」が可能な力だけでなく、「コンピュータと適切に対話する力」の育成についても重視する必要があることを指摘する。それとともに、こういった能力を育成するにはAIサービスの利用だけでなく、AIに「学習させる」経験も必須だとしている。
「観点3」では、AIを含むコンピュータとの向き合い方、情報技術を使いこなす力の育成を論じるだけでは不十分であり、「思考・判断・表現」の方法や子どもたちの学びの姿そのものが変容しつつあることも考慮する必要があるとしている。そのため、情報教育に限定するのではなく、教育や学び全体に対する影響まで、幅広い議論を求めている。
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