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イベントレポート(ICT活用)

赤堀侃司氏・中川一史氏・黒上晴夫氏が、これからの時代のICT教育を語る「第6回 全国ICT教育首長サミット」

「第6回 全国ICT教育首長サミット」「第5回 日本ICT教育アワード」表彰式レポート 第3回


 先進的なICT教育を推進する、130自治体の首長で構成される全国ICT教育首長協議会では、実践を行う自治体の顕彰と、実践事例を発信する場として「日本ICT教育アワード」を開催している。2022年に開催された第5回では、全国のモデルケースとなるような先進的ICT教育を実践する9自治体が表彰され、その後、首長と有識者らによる「第6回 全国ICT教育首長サミット」や表彰自治体による実践発表が行われた。さらに特別講演として、東京工業大学名誉教授の赤堀侃司氏、放送大学教授の中川一史氏、関西大学教授の黒上晴夫氏の3名が、ICT教育をテーマに登壇した。最終回となる本記事では、特別講演の概要と重要ポイントをお伝えしていく。

これまでの記事

「第6回 全国ICT教育首長サミット」「第5回 日本ICT教育アワード」表彰式
「第6回 全国ICT教育首長サミット」「第5回 日本ICT教育アワード」表彰式

AI時代を生きる子どもたちに必要な能力とは?

 まず、東京工業大学名誉教授の赤堀侃司氏が登壇し「AI時代を生きる子どもたちの資質・能力」と題して、講演を行った。

東京工業大学名誉教授 赤堀侃司氏
東京工業大学名誉教授 赤堀侃司氏

 赤堀氏は最初に、第二次世界大戦でドイツ軍が使用した難解な暗号「エニグマ」の解読に成功した、イギリスの数学者アラン・チューリング氏の業績を語り、同氏が「AIの父」と呼ばれるに至ったエピソードを披露した。そして、チューリング氏が考案した「チューリング・テスト」を紹介。「チューリング・テスト」とは、壁の向こうにいる質問相手が機械か人間かを当てるテストで、ドイツでは中等教育で学んでいるという。例えば「今日は暑いですね」というあいさつに対し、異なった回答をしたAとBのうち、どちらが人間で、どちらがコンピューターかを当てるというものだ。

 赤堀氏は日本の60人の学生を対象に、疑似的なチューリング・テストを行ったところ、92%がAIと人間を見分けたという。「学生はAIと見抜いた理由について、『今日も暑いですね』というあいさつに対し『共感ではなく、提案したため』と答えた。これはとても素晴らしいこと」と、赤堀氏は話す。「共感」はデータのみで判断するAIには不可能で、人間にしか成し得ないことだからだ。

学生に対して実施した疑似的なチューリング・テスト
学生に対して実施した疑似的なチューリング・テスト

 そして、第2次AIブームと言われていた1982年に研究を行った際には「AIは教育に使えない」という結論に達したことを伝えた。「人間が持つ最大の知識である『常識』はコンピューターにはインストールできなかった。だが、ビッグデータが普及している現在ならば可能だろう」と赤堀氏は話す。

 その上で、AIと比較した際に人間が持つ特徴として「文章の中に、主語や言葉が抜けていても、それを推測して補う力がある。俳句などがまさにそう。コンピューターと異なり、人間は言葉が示す意味やイメージの中から、どれが重要かを直感的に理解し、それらをつなぎ合わせることができる」と解説した。

 次に赤堀氏が語ったのは、毎日の給食の時間に子どもたちと会話を楽しんでいたという、ある小学校の校長のエピソードだ。

 「子どもたちと話すと、大人が答えられないような質問もたくさん投げかけてくる。その校長先生は職員室に帰って疑問を調べることが、楽しくて仕方がなかったそうだ。『疑問を持つ』ことは『学ぶ』ことにつながるが、AIは疑問を持たない」(赤堀氏)

AIと異なる人間の特徴は「疑問を持つこと」
AIと異なる人間の特徴は「疑問を持つこと」

 赤堀氏は「学生はデータだけで勝負する」として「常々、学生には『インターネットで調べたのはデータで、そこに考察を加えないと、本物になり得ない。君のアイデアはどこだ。それで研究したことになるのか』と伝えている」と語った。

 さらに、AI時代に必要な能力として、赤堀氏は「感じること」を挙げた。中学校教諭の平澤真名子氏の論文によると、小学生の国語の読解力問題で「感動した部分に傍線を引く」「大事な部分に引く」「何もしない」という3つの行動パターンで成績を分析したところ、感動した部分に線を引いたグループの点数がもっとも高かったという。

 「今日のサミットでの事例発表は、どれも子どもがわくわくしてやってみたいと思うものだろう。これこそが『感動』であり、だからこそ効果として表れている」と、赤堀氏は語った。さらに「AIには心がないが、人には共感する心がある。この『共感』があれば、いじめや不登校は減っていくだろう」と伝えた。

平澤真名子氏による読解力テストの結果
平澤真名子氏による読解力テストの結果

 最後に、赤堀氏は「ICTという道具には光と影がある。うまく使えば不登校の解消につながるが、下手に使えばネットいじめの原因にもなる。だから『正しく使おう』としてできたのが『情報活用能力』だ」と語り、講演を締めくくった。

次のページ
GIGAスクール構想で見直すべき「これまでの当たり前」

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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