すららネットは、同社が提供する「すらら」が熊本市教育委員会の不登校支援事業(フレンドリーオンライン)で活用するICT教材として採用され、本格運用が始まったことを、12月16日に発表した。さらに同社は、同市教育委員会らとともに「バーチャル教室」として不登校児童生徒の支援環境の充実を目的とした、最先端技術や教育データを効果的に活用する実証事業を12月16日から開始する。
熊本市教育委員会は学校への登校が難しい児童生徒への学習支援として、周囲とつながりながら自分のペースで学びを進める機会を保障する目的で、「すらら」をトライアル利用したオンライン学習に2021年度より取り組んでいた。
「すらら」は、無学年式のわかりやすいアニメーションのレクチャー機能で子どもたちがゼロから理解できる教材で、AIを搭載し一人ひとりの理解度や進捗に合わせて苦手な単元を見つけ、わかるまで学べるようになっている。トライアル利用を経て、この個別最適化した学びと学力の定着に対して有用性が認められ、本格運用が開始された。
文部科学省の「2021年度 問題行動等調査」では小中学生の不登校は過去最多の24万人超となり、同市でも過去最多の2152人で増加傾向にある。これまでも熊本市教育委員会は不登校支援の先駆的取り組みを行っていたが、この状況に対してより効果的な支援のため、バーチャル空間を利用した支援を試みる実証事業を行うこととなった。
同事業は文部科学省の「次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進事業」の一環として、熊本市教育委員会やすららネットのほか、NTTコミュニケーションズ、Inspire Highとともに取り組む。
バーチャル空間では児童生徒が自由に集まり、児童生徒同士で話ができるコミュニケーションの機会を作り、集団生活への慣れを育成する。「すらら」での教科学習データのほか、各種学習データを一元管理するダッシュボードでは児童生徒の学習状況や変容を見える化することで、一人ひとりに合った効果的な支援を行う。
すららネットは、以前から不登校生の支援にも注力しており、教材の提供だけでなく「出席扱い制度」利用の認知拡大・啓蒙活動や保護者に対する子育て支援なども行っている。現在「すらら」の個人ユーザーの約36%が不登校生で、直近3年間で8倍以上(2019年度と2021年度の比較)の約1500人に急増している。
今回、同事業に参画するにあたり、「すらら」による学習機会の保証だけでなく、学習を通じて「わかる!」「できる!」の積み重ねで自己肯定感や自信を身につけ、子どもたちの将来の選択肢や未来への可能性を広げる一助になることを目指す。
- 関連リンク
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア