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イベントレポート(ICT活用)

少子化が進む中、大学・専門学校の募集広報で大切なことは何か? 高校生に学校の魅力を伝えるポイント

「募集広報の新たなる指標 新プロセス解説セミナー」レポート


 大学や専門学校にとって「市場規模」とも言える18歳人口は、少子化により今後も減少していくと予想されている。学校の生き残りをかけて、高校生に選ばれる学校になるにはどうすればよいのか。そんな課題のもと、Doorkelは9月28日に「募集広報の新たなる指標 新プロセス解説セミナー」と題したセミナーを開催した。本稿では、株式会社Doorkel 経営企画室 室長であり戸板女子短期大学 講師の吉田涼平氏による、募集広報担当者向けのセミナーの模様を紹介する。

 記事公開時、戸板女子短期大学の名称を間違えて記載しておりました。お詫びして訂正いたします。(2022/10/31 20:01)

募集広報において、なぜ「新プロセス」が必要なのか

 本セミナーの講師である吉田涼平氏は15年以上、大学や専門学校の募集広報やカリキュラムの作成に関わってきた。セミナーの冒頭、同氏は「多くの大学や専門学校が『自校の強みを100%伝えられていない』という課題感を持っている。つまり、高校生に情報が行き届いていないため、高校生は偏差値という序列や立地などの条件のみを参考にして、進学先を決めてしまっている状況がある。偏差値や立地で進学先を選んだ高校生が、皆満足した大学・専門学校生活を送れているわけではなく、後悔する姿も多く見てきた。新プロセスに挑戦することで、魅力を十分に伝えられる学校になり、偏差値や立地といった序列を壊してほしい」と、開催の目的を語った。

株式会社Doorkel 経営企画室 室長/戸板女子短期大学 講師 吉田涼平氏
株式会社Doorkel 経営企画室 室長/戸板女子短期大学 講師 吉田涼平氏

 こうした募集広報のアップデートが求められる背景には、18歳人口の減少という社会問題も関わってきている。18歳人口は、2021年の114万1000人から、2033年には12万7000人減少し、101万4000人になると予測する分析データ[※1]もあり、従来の募集広報プロセスを続けるだけでは志願者数が減ってしまう。各校が高校生に選ばれる学校になるためにも、新たな取り組みが必要となる。

[※1]出典:リクルート進学総研「18歳人口推移、大学・短大・専門学校進学率、地元残留率の動向2021」(2022年5月)

「旧プロセス」とその欠点とは

 まず吉田氏は、旧プロセスがどのようものかを提示。旧プロセスは「請求→来校→出願」の流れで行われると説明し、「この3つの数字を追う時代が終焉を迎えている」と述べた。その理由として、旧プロセスが登場した歴史を振り返った。

旧募集広報プロセス「請求→来校→出願」の流れ
旧募集広報プロセス「請求→来校→出願」の流れ

 まず「(資料)請求」というプロセスの始まりは、1970年代に就職情報を取り扱う会社が大学の進学情報も取り扱い始めたこと、「来校」のプロセスは、1978年に「進学相談会」と呼ばれる自校に高校生を招く会が登場したことによるものだ。その後、1988年には高校生を自校に招くイベントが「オープンキャンパス」と呼ばれるようになった。つまり、現在でも多くの学校が会議や次年度の目標を立てる際に使用している「請求→来校→出願」という募集広報のプロセスは、40年以上前からアップデートされていないと言える。

 さらに吉田氏は、この40年の間に高校生にはどのような変化があったかを提示。スマートフォンの普及で、高校生一人ひとりがPCを1台ポケットに入れているような時代になったことや、現在は新型コロナウイルス感染症により、高校の授業をはじめ世の中がオンライン化に向け大きく変わっていっていることを説明した。そして「世の中では大きな変化が起こっているのに、募集広報プロセスは40年間変化していないことを問題提起したい」と強調した。

スマートフォンの普及をはじめとした、40年間で起きた変化
スマートフォンの普及をはじめとした、40年間で起きた変化

 では、旧プロセスの具体的な欠点は何か。吉田氏は「欠点は2つある」と説明。1つ目の欠点として「特定の行動のみにフォーカスしている」ことを挙げた。「請求→来校→出願」の旧プロセスは、高校生が進学先へ出願するまでの基本的な行動だけを示しているとし、「昔は、興味を持った高校生が行うアクションにおいて数値を把握できるものが資料請求しかなかったため『請求→来校→出願』という1つの流れだけでもよかった。しかし今はSNSや動画視聴など、データ化できるアクションが多数存在するため、旧プロセスでは高校生の動きを把握できなくなっている」と述べた。

 また、消費者の購買行動プロセスの代表的なモデルである「AIDMA(モデル)」と現在の「請求→来校→出願」プロセスを提示し、「世の中で使われているプロセスは具体的な行動ではなく消費者の心理的な状況が設定されており、その状況下でさまざまな行動が紐づいている」と説明した。

心理的な状況がさまざまな行動に紐づく
心理的な状況がさまざまな行動に紐づく

 続いて、2つ目の欠点として「『請求』という言葉の意味が広すぎる」ことを挙げ、「請求と言っても『ホームページからの請求』と『媒体請求』に分けられ、ホームページ請求はさらに『オーガニック検索』と『広告経由』に分けられる」と示した。

2つ目の欠点「請求という言葉の意味が広すぎる」
2つ目の欠点「請求という言葉の意味が広すぎる」

 吉田氏はこれまでの経験から「ホームページ請求からの来校率(オープンキャンパスや個別相談会への参加率)、つまり次の来校プロセスに進む高校生は40~50%。媒体請求からの来校率は3~8%で、同じ言葉で語ってはいけない指標になっている」と述べる。

 また、資料請求という言葉をひとくくりにすることで起きる間違いの事例を提示し「ホームページから200件、広告から200件、媒体から600件の計1000件の資料請求実績があった学校が、次年度の目標を資料請求10%アップの1100件と設定しても、その内訳がホームページ0件、広告0件、媒体1100件では、来校数は前年より落ちてしまう。『資料請求』という1つの言葉でくくらず、必ず内訳まで目標値を立ててほしい」と強調した。

資料請求の数値だけを見るのは危険だと言える
資料請求の数値だけを見るのは危険だと言える

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EdTechZine編集部(エドテックジンヘンシュウブ)

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