米Amazon Web Services(AWS)は、新型コロナ禍でデジタルスキル習得に向けたトレーニングの必要性が大きく高まったことを示す調査レポート「日本とAPACの変化し続ける労働環境におけるデジタルスキルとその重要性」を、4月11日に公開した。
同レポートによれば、日本の労働者の78%が新型コロナ禍にともなう仕事の変化に対応すべく、より多くのデジタルスキルが必要になったと答えており、デジタルスキルトレーニングを必要とする日本の労働者数は、2023年には2630万人と日本の労働力の39%を占めるようになると予測している。一方で、実際にデジタルスキル習得支援のためのトレーニング計画を策定している雇用主は18%に留まった。
同レポートでは、こういったトレーニング実施の有無が、生産性やイノベーション、従業員の定着率などにおける企業・団体の競争力に影響を及ぼす可能性があると指摘している。
同レポート作成にあたっての調査は、デジタルスキルを活用する日本国内の技術職・非技術職の労働者1032名と、公共、民間、非営利セクターの多様な規模の組織を代表する雇用主312社・団体を対象に行われた。
調査の結果、2025年までに雇用主がもっとも必要とするスキルは、クラウド開発者向けツールやクラウドベースのコミュニケーション、会計、顧客管理ソフトウェアといったクラウドベースのツールを使用するスキルであり、サイバーセキュリティスキルがそれに続く。
また、2025年までに日本で需要が高まるデジタルスキルの上位10スキルとしては、ITシステムをオンプレミスからクラウドに移行する能力や、クラウドアーキテクチャ設計に関するスキルが挙げられるなど、より高度なクラウドコンピューティングスキルの必要性も指摘している。
日本では、労働者の54%が今後のキャリアアップに向けて、2025年までにクラウド関連スキルを習得するトレーニングが必要だと感じている。うち60%はクラウドベースのツールを習得する必要性を、21%はITシステムをオンプレミスからクラウドに移行するスキルを習得するためのトレーニングを、18%はクラウドアーキテクチャ設計スキルが必要だと感じているという。
医療、農業、フィンテック、エンターテインメントを含む多くの業界の日本企業が、AIや機械学習の導入を検討。AIや機械学習の活用といった高度なクラウドスキルは、2025年までに雇用主が求めるデジタルスキルの上位10スキルのうち、第8位にランクインしている。
そのほか、スキル習得のためのトレーニングを支援する雇用主のうち、84%が従業員の生産性向上を、74%がデジタル化に向けた目標を迅速に達成できたと回答した。さらに75%はイノベーションのサイクルを短縮したほか、売上が伸びたと回答した。一方で、66%が従業員の仕事と個人的な満足度が高まったと答えている。
- 関連リンク
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア