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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZineオンラインセミナー

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オンラインスクール運営 虎の巻

知りたい! 世界の国のオンラインレッスンマーケット最新事情(2)アメリカ編

オンラインスクール運営 虎の巻 第5回

 前回から本連載は「国外編」と銘打って、外国の最新市場動向や事例をご紹介しています。前回は韓国eラーニング/EdTech市場の規模・利活用動向、そして国策についてお伝えしました。また、韓国オンライン趣味レッスンの代表的サービス「CLASS101」を日本の読者の皆さんにいち早くご紹介しました。今回はテクノロジー大国・アメリカに目を向け、先端オンラインサービス事情を、たっぷりお伝えします。

アメリカのオンラインスクール市場の展望

 世界はいまだ新型コロナウイルスが引き起こした騒乱の最中にあります。人と人が接触すると感染が起こる、というこの厄介な状況において、スクールのオンライン化がいや応なしに進むのはごく当然のことのように思えます。しかし、アメリカでは新型コロナ禍以前からオンラインスクール市場拡大の傾向がありました。

 パンデミック前に発表された国立教育統計センターの最新データによると、アメリカの大学生約1990万人のうち、35%近くにあたる約690万人が、2019年の時点ですでに何らかの遠隔教育プログラムに登録していたとあります。現在いくつかの州では学校の通常運営が再開し始めているとはいうものの、2021年1月の時点で12万4000の私立および公立学校が授業閉鎖、あるいは部分運営の形をとらざるを得ない状況にあり、少なくとも5500万人の学生に影響が出ているといわれています。そのほとんどがオンライン学習を受けているわけです。

 このような新しい教育環境は、小中高の学校運営から、大学、大学院、生涯学習……とあらゆる場面で定着しつつあります。当然、オンライン教育の市場拡大・成長加速傾向は間違いないものと目されていますが、一方で、政権交代と新型コロナ禍の混乱により、成長規模の具体的予測が立てにくい状況なのだとか。アメリカにおけるオンライン教育市場は、2019年末の時点で2010億米ドル。新型コロナ禍以前は、2026年までに3378.6億米ドルに達すると予測されていたのですが、この数値が20~30%増しになるのでは、という見方もあるのです。

新型コロナ禍におけるアメリカ・オンラインスクール業界4つのトレンド

【1】オンライン大学を選択する人、その背景

 新型コロナ禍で学びのニーズが高まっているため、オンラインで学位を取る人の平均年齢が上がっています。例えば、オンラインで学士課程を履修している学生の平均年齢は32歳。やや高めですね。その理由は、高額の学費を賄えるのは就業している年齢の人が多いから、というもの。学生生活をエンジョイするのが主目的なのではなく、自身のキャリアアップ・収入アップのために、今の仕事と並行できる形で学位取得するにはオンライン大学だ!となる人が多いです。

【2】無料で受講できる資格コースなどが増加

 各教育機関が、講座や資格コース、学位授与コースなどを無料提供するケースが増えています。例えば、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学などの名門校をはじめとする世界の大学160校が参画する「edX」では、無料で取得できる大学学位や専門資格のコースが提供されています。中には、弁護士資格が取得できたり、博士課程をオンラインで受講できたりするものも。子ども向けでは、非営利団体「Code.org」の無料コーディング学習コースが人気です。

【3】オンライン・ホームスクールのニーズ拡大

 アメリカは「学校へ通学せず、自宅で学習して正規の学校教育に代える教育」――いわゆるホームスクールが社会に浸透しています。新型コロナ禍で、子どもの教育をホームスクール式に切り替える家庭がさらに急増中。人気のある遠隔教育プラットフォームとしては「Acellus Academy」などがあります。

【4】学生どうしで学習を助け合う仕組み

 本連載の3回目でも触れたように、オンライン学習には、受講者どうしの横のつながりが持ちにくいという、「ならでは」の課題があります。スクーリングでフォローアップするという手法も、新型コロナ禍の状況下では難しくなってしまいました。ここを補うものとして、「Zoom」「Shared Drives(旧Google Team Drive)」などを用いてオンライン学習を助け合うコミュニティ(「Study Meetup」「Online-co-op」などと呼ばれています)のニーズが高まっています。

アメリカで今注目のオンライン教育サービス6選

Stanford Online High School

 2006年創立、かの名門校・スタンフォード大学が運営する完全オンラインスタイルの高校。「世界に最高水準の高等学校教育を」をモットーに、世界中から学生を集めています。学費は日本円で約250万円/年とかなり高額ですが、人気は大変高く、入学希望者が世界中から引きも切らないのだとか。2016年から校長を務めているのは日本人EdTech専門家の星友啓(ほし・ともひろ)氏。

Maryville Online

 ミズーリ州セントルイス市に拠点をおく私立大学。女性のためのカトリック機関として1872年に設立され、現在も女性のための教育に力を入れています。学生の男女比は33:67と女性比率が高いことが特徴です。入学試験はなし、入学申請費もなんと無料。オンラインでありながら学費援助が充実していることから、2020年度、全米で2番目に成長した学校として知られるようになりました。

Harvard Online Courses > Business

 ハーバード大学が運営する、全米最高水準といわれるオンラインカリキュラムです。経営、会計など、ビジネスで役立つ内容を多く取り扱っており、修了証書も発行されます。講座は平均4~12週かかり、費用は950~4500米ドル。累計約4万人が受講しているそうです。「The Credential of Readiness(CORe)」プログラムが特に人気だとか。

University of the People(UoPeople)

 2009年創立の完全無料オンライン大学です。学位取得のための費用は一切かかりません。世界中から学術界のトップクラスを諮問委員会に迎えており、質の高いカリキュラムを提供していることでも知られています。創設者はシャイ・レシェフ氏で、カリフォルニア州パサデナ市のNPOが運営しています。

American Sport and Fitness Association(ASFA) > Personal Trainer & Fitness Certifications

 スポーツ業界で働く人々がスキルアップするためのオンラインプログラムです。アメリカン・スポーツ&フィットネス協会(略称:ASFA)が運営しており、認定資格の取得費用も1資格あたり200ドル~と手頃なのが魅力です。パーソナルトレーナー、アクアビクストレーナー、ピラティストレーナー、ヨガトレーナーなど、コースも充実。自宅で受講できて、スポーツ資格も取得できる、とあって高い人気を誇っています。

Mystery Science

 小学生向けSTEM教育プログラム。学校や学区などのB2B顧客向けに、科学実験ビデオ中心の教育プログラムを販売しているのが特徴です。一部、ホームスクールを行う個人向けにも販売しています。契約料は日本円で1校あたり約20万円/ 年。同社がYouTubeで配信している「Mystery Doug」という番組も全米で人気です。

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対面授業はもう古い?!――アメリカ最先端の個人オンラインレッスントレンド

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この記事の著者

株式会社メディアシーク(マイクラスリモートチーム)(カブシキガイシャ メディアシーク マイクラスリモートチーム)

カスタムメイドのシステム開発ソリューションと、豊富な開発実績から生まれたスクール管理システムパッケージ「マイクラス」のほか、LMS(学習管理システム)、各種Webサイト、スマートフォンアプリを提供している。マイクラスは大手カルチャースクールに導入され、10年以上の稼働実績を持つ。2020年11月には...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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