ICTは創造活動のきっかけにもなる
――ICTの良さをうまく活用されている岩本先生ですが、ICTがあることで子どもたちの表現力はどう変わったと思いますか。
まず、気軽にいろいろな人とつながることができる、気軽に調べることができるのは、ICTの大きなメリットです。先日も、図工の作品が早く完成して時間をもてあましていた子に「平和のポスターのコンクールがあるから、挑戦してみる?」と声がけしたところ、早速子どもが自主的に過去の入賞作品を調べ始めました。
さらに、テーマとなっている「平和」はどんな色なのかを調べたところ、平和の色のカラー一覧を発見しました。子どもたちは、その色を確認しながら絵の具を混ぜて、平和の色の組み合わせをつくっていました。
このように、幅広い知識を気軽にインプットできることは、かなり大きいと考えています。
――ICTは画材になるだけでなく、自分の手を動かしたり、つくったりするためのきっかけになっているのですね。
はい。例を挙げだしたらキリがないほどですが、絵を描くことが苦手な子にもICTは有効です。画用紙であれば絵の具で失敗したらやり直しができませんが、ビスケットは何度でもやり直すことができます。
得意な子は何回も繰り返し修正できる。苦手な子は失敗しても1つ前に戻ってやり直せる。何度でもチャレンジできるのが、ICTのいいところですね。
外部モニターなら絵の具の鮮やかな色彩も表現できる
――こうした子どもたちのクリエイティブな活動では、やはり大きな画面のほうが、より活動しやすいように感じますがいかがでしょうか。
はい。プロジェクターもいいのですが、部屋の明るさを問わずに使える大きな画面のモニターがあると便利だと思います。縦横方向を変えられるモニターであれば、縦長の画像に合わせて大きく作品を見せることもできます。最大の魅力は、絵の具の鮮やかな色彩や、同じ色のわずかな違いも、実際の作品に近い色合いで映せることですね。プロジェクターではどうしても難しい部分です。図工の授業で、自分の好きな色が魅力的に見える色の組み合わせを考えて絵に表す「色の世界」という授業では、特に有効性を感じました。
――実際に学校で外部モニターを使ってみて、子どもたちの反応はいかがでしたか?
「見やすい」ととても好評でした。例えば、放送委員会では現在集まって活動できないため、学年ごとにTeamsを接続して活動を行っています。その際、子どもたちの端末では画面が小さいため、「GW2780T」にTeamsの画面を映していました。
また、図工では生き物の絵を描くときに、各自の端末で書きたい生き物を調べて描いてもいいとしています。「画面が小さいからよくわからない」という子に対しては、外部モニターに表示してあげると、細部まで見えてわかりやすかったようです。
――ほかにも、外部モニターの有効性を感じられた点があれば教えてください。
子どもたちの姿勢の改善ですね。児童机で長時間タブレットやパソコンを使用すると、どうしても背筋が曲がってしまったり、首や肩、目が疲れてしまったりすると思います。外部モニターを使用することで、学校でも家庭でも端末を使った学習に取り組みやすくなるでしょう。
また、オンライン授業をする場面においても有効です。ホワイトボードなどを使った協働学習では、外部モニターで大きく映すと細かい書き込みを確認できます。教員側としても、学級の児童の画面を一覧で確認することがありますが、大きい画面であれば、いちいち拡大することなく瞬時に児童の画面を確認できる点もありがたいです。
――家庭学習でも、外部モニターを接続すれば長時間使いやすくなるとのことでしたが、自宅で外部モニターを使うメリットはどのようなところにあるとお考えですか。
学校の端末や自宅にあるタブレットなども外部モニターにつなげることで、より見やすく姿勢も良くなると思います。色彩や筆の細かい表現も、外部モニターの大画面ではきちんと表現できていたので、理想としてはぜひ大きな画面で見てほしいですね。