SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

イベントレポート(海外動向)

女子学生にプログラミングを――Girls Who Codeの創始者が語る、コンピューティング分野における女性の現状

 プログラミング教育必修化に代表されるように、プログラミングはこれから求められるスキルの1つと言われている。だが、大学でコンピュータサイエンスやエンジニアを学ぶ女子学生、さらにはハイテク企業に務める女性の比率は低い。Girls Who Codeは、この問題の解決を図るべく2012年に米国で立ち上がった非営利団体だ。これまでに30万人の女子学生に対面でプログラミングコースを提供し、すでに約9万人が大学や大学院の年齢に達している。Girls Who Codeを設立したReshma Saujani氏が4月、テクノロジーベンダーの米Informaticaのイベントに登場し、テクノロジー分野のジェンダー問題について動向と取り組みを紹介した。

米国でもコンピューターサイエンスを学ぶ女子学生が少ない

 弁護士であるSaujani氏がGirls Who Codeを設立することになったきっかけは、2010年に選挙に出馬したときだ。選挙運動の一環で学校を訪問したとき、コンピューターサイエンスを学ぶ女子学生が少ない現実を目の当たりにしたという。

 「教室には男子学生ばかり。女子学生は見当たらなかった。米国の人口の半分が女性なのに、おかしいと思った」とSaujani氏。残念ながら選挙は当選しなかったが、「若い女性がコンピュータースキルを身につけ、21世紀のチャンスを追求してもらう」ことを目的にGirls Who Codeを立ち上げた。

Girls Who Code CEO/Founder Reshma Saujani氏
Girls Who Code CEO/Founder Reshma Saujani氏

 実は、テクノロジー分野での男女比率は悪化している。Saujani氏は、1990年代から2010年代にかけてコンピューターサイエンス専門家のうち女性の比率が減少しているというデータを紹介した。

 女子学生にコンピューターに触れてもらうために、Girls Who Codeでは、放課後のクラブ、大学向け、夏休みの集中コース、と大きく3つのプログラムを展開している。

 放課後のクラブは、小学生から高校生を対象とし、無料で週に1~2時間の活動を行う。全米では1万以上のクラブを展開しているという。

 大学向けのプログラム(「College Loop」)は、「コンピューターサイエンスを学びたいと思って大学に行っても、ダイバーシティがないために退学するという比率は高い」(Saujani氏)という問題に目をつけ、コードを教えるだけでなくコミュニティ活動も重視する。

 夏休みの集中コースは、スポンサー企業内で展開する2週間のコース。20人1グループで活動する。参加者の半数が貧困家庭や有色人種だという。これらのプログラムの多くが、コロナ禍でオンラインに移行して継続している。

 プログラムの受講者は30万人に達し、米国、カナダ、英国で5億人の女子学生にリーチしたとSaujani氏は胸を張る。Girls Who Codeは2019年、Fast Companyにより、最もイノベーティブな非営利団体に選ばれている

 女性活躍の文脈でよく“パイプライン”という言葉が使われるように、女子学生がコードを学んだり、コンピューターサイエンス学部に進むことは、ハイテク企業のジェンダーギャップ解消の重要なステップとなる。Girls Who Codeはこのパイプライン問題に取り組むという位置付けだが、スタートから9年、少しずつよい影響は出ているようだ。

 Saujani氏によると、Girls Who Code開始時、テクノロジー業界における女性の比率は25%以下、大学のコンピューターサイエンス学部における女子学生の比率は18%以下だった。現在、コンピューターサイエンス学部の女子学生の比率は30~40%になっているそうだ。マサチューセッツ工科大学(MIT)に至っては、ほぼ50%に達しているという。

次のページ
企業にも変化が必要、鍵は「クリティカルマス」と「測定」

この記事は参考になりましたか?

イベントレポート(海外動向)連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


この記事をシェア

EdTechZine(エドテックジン)
https://edtechzine.jp/article/detail/5721 2021/06/03 07:00

おすすめ

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング

イベント

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング