近畿大学は、2022年4月に15番目の学部として東大阪キャンパスに「情報学部」の開設を予定していることを、3月12日に発表した。
新たに開設される「情報学部」では、Society 5.0の実現に向けて第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、AIといった技術革新)が進展する中、社会から強く求められているAI活用やデータ分析、サイバーセキュリティ対策などを扱う、先端IT人材の育成を目指す。
具体的には社会のニーズに応える情報技術者としてふさわしい問題発見能力、制約の中で他者と協調しながら問題を解決する能力、情報分野における幅広い専門技術の知識とそれらを問題解決に応用できる能力、システム構想・設計力、プログラミング能力に加え、国際的に通用する英語コミュニケーション能力と技術者倫理を身につけた人材の育成を目標としたカリキュラムを想定している。高度な専門教育を体系的かつ組織的に行い、学生が情報学に関する幅広い分野の中から系統的に学べるよう、「知能システム」「サイバーセキュリティ」「実世界コンピューティング」の3コースを設置。それぞれのコースでは、サイバー空間に蓄積する大規模データの利活用や、そのセキュアな流通、また、Society 5.0の根幹となるサイバー空間と実世界との橋渡しに関する技術を学んでいく。
学部長には「実社会と結び付いた教育」を実践するという観点から、家庭用ゲーム機「PlayStation 3」の開発にも携わった、元ソニー・コンピュータエンタテインメント 代表取締役 会長 兼グループCEOの久夛良木健氏が就任する予定。
また、同大学は情報学部の開設を見据え、情報に関わる新技術の調査研究およびICT技術の教育方法の調査研究と、研究の成果を社会実装に結び付けるコネクターを目指すことを目的に「近畿大学情報学研究所」2020年4月1日に開設している。所長はドワンゴの代表取締役社長である夏野剛氏。研究所は「知能システム部門」「サイバーセキュリティ部門」「実世界コンピューティング部門」「ICT教育部門」の4つの部門で構成され、最新の研究成果を情報学部の教育活動にフィードバックすることにより、AIなどの高度なICT技術を利活用できる人材育成のための教育に寄与していく。
3月12日に行われた記者会見で、久夛良木氏は「情報学部には好奇心旺盛な教員がそろっているので、同じ思いを持つ学生に来てほしい。一丸となって未来をつくっていきたい」と述べた。また、夏野氏は「近畿大学は日本の大学で最もチャレンジングな大学だと感じている。ぜひ、学びに対して貪欲な学生に入学してほしい」とコメントした。
2021年3月21日の10時からは、同大学のオープンキャンパスのスペシャルコンテンツとして、久夛良木氏と夏野氏によるトークセッションが行われ、YouTubeで配信される。こちらは誰でも自由に視聴することができる。
なお、情報学部は、現在の理工学部情報学科を母体として開設される。それに伴い、理工学部でも2022年4月に改組が行われる予定。
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