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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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リモート時代の「プロジェクトベースドラーニング(PBL)」の進め方

オンライン環境下における中高生のPBL支援で得られた教訓――教師は学生に何を教え、どんな支援ができるのか?

リモート時代の「プロジェクトベースドラーニング(PBL)」の進め方 第3回

 PBLで取り組むテーマは教師自身も、学んだことも知識もない未知のものであることが多いです。未知のものである場合、教科書はありません。教科書がないテーマをPBLで扱う場合、どのように授業の計画を立てていけばいいのか? 教師は学生に何を教え、どんな支援ができるのか? そのヒントを、コロナ禍で奮闘するNPOの寄付を募る動画を、中高生が完全オンラインで制作した「チャリティームービープロジェクト」を例に取ってご紹介します。

未経験の中高生がリモートでNPOに取材し、動画を制作するプロジェクト

 チャリティームービープロジェクト (※以下、CMP)とは、公益社団法人日本フィランソロピー協会主催の寄付教育プログラムです。同協会ではこれまで中高生を対象に街頭募金を主な手段として寄付教育を行ってきました。しかし、2020年度はコロナの影響で街頭に立って寄付を募るという活動を行うことが難しくなりました。そこで考え出された案が、街頭に立つ代わりにコロナ禍で奮闘するNPOを応援する動画を制作し、その動画視聴を通じて寄付を募るというものでした。

 動画をネットで配信すれば街頭に立つことなく寄付を訴えることができます。しかし、このプロジェクトの制約は、中高生がNPOに対して行う取材やプロジェクト進行を支援するコーチや大人によるサポートを、すべてリモートで行わなければならないことでした。スケジュールはざっと以下のとおりです。

  • 2020年5月:企画準備
  • 2020年6~7月:参加学校募集。全国各地、また海外からも参加があり、71名26グループが参加することに
  • 2020年8月:中高生による活動スタート

 NPO1団体につき4~5つの中高生グループを割り振り、主に下記のように進行しました。

  • NPOやNPOの活動のテーマについてのリサーチと「質問づくり」を行う
  • リサーチ後、Zoomを使ってNPOにオンライン取材を行う
  • 動画制作のためのシナリオづくりを広告代理店のクリエイターから学ぶ
  • 動画制作のためのシステム操作方法を提供企業から学ぶ
  • 動画に組み込みたい素材(静止画と動画)の提供をNPOに依頼する
  • シナリオと素材を組み合わせて動画を企画・制作する
  • 制作した動画を配信して寄付を募る広報活動を考えて実行する
  • 制作した動画を11月に公開する
  • 2021年1月まで動画配信を行って寄付を募る

 参加したほとんどの学生は、動画制作の経験や知識がありません。主催する日本フィランソロピー協会の職員にも、寄付を募るために中高生の動画制作を支援するという経験がありません。しかもこのプロジェクトの大きな制約は、中高生がNPOに対して行う取材やプロジェクト進行を支援する企業ボランティアによるサポートを、すべてリモート(オンライン)で行わなければならないことでした。

 筆者はこの未知なプロジェクトの進行を支援する者として外部から参加しましたが、この活動をPBLとして捉えて支援していました。

 「未知」にはいくつかの意味があります。

  • 取り組むテーマそのものについての知識や経験がまったくないという意味の未知
  • テーマや目標があっても、どのような成果物やアウトプットが出てくるのか? 出せるのか? が教師も学生も分からないという意味の未知

 CMPの場合は、シナリオ制作のプロや動画制作システムの提供者、企業で広報職に就くボランティアがいましたが、「リモートでNPOに取材し、寄付を募るための動画を制作する」経験は誰も持っていませんでした。

 未知のものは教師が事前に学ぶことで既知に変えることができますが、CMPにはそのための時間がありませんでした。もし、事前に十分な時間があって、教師が動画のシナリオ制作や撮影のコツ、制作ツールの操作方法を覚え、学生に伝えたとしても、学生が寄付につながるような動画を企画・制作できるとは限りません。また、インプットした情報を学生がどう解釈して、どのようなアウトプットになるのかもコントロールしきることはできません。共通の目標はあっても、アウトプットはさまざまです。

 教師にとっても学生にとっても未知なプロジェクトでは、テーマは与えられても教科書やマニュアルを与えられることはありません。未知なプロジェクトの目標を達成させようにも教師は教えることができないのです。

次のページ
正答を教えられない教師に何ができるか?

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この記事の著者

池田 哲哉(イケダ テツヤ)

学びの道教育研究所代表・慶應義塾大学SFC研究員 小学校受験で慶應義塾幼稚舎・雙葉小学校・筑波大学附属小学校などに卒業生を輩出。小学部では6年にわたり海外でのプロジェクトベースドラーニングを行う。PBLを進めるためのInnovationPBL CANVASを開発、2018年カナダの国際カンフアレン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


前田 考歩(マエダ タカホ)

プロジェクトエディター 自動車、映画、地域活性、防災、育児、離乳食、動画、カメラなど、様々な業界と製品のプロジェクトマネジメントに携わる。プロジェクトに「編集」的方法を取り入れたプロジェクト・エディティングを提唱。VUCAな時代を切り拓く素養の育成を目的に、小学生から大学生を対象にしたPBL(Pr...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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