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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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リモート時代の「プロジェクトベースドラーニング(PBL)」の進め方

コロナ禍のような未知なる社会課題に対応しうる新たな学び方「PBL」をオンラインで実践する

リモート時代の「プロジェクトベースドラーニング(PBL)」の進め方 第1回


 与えられた問題を早く正確にこなすことが求められていた時代から、自ら問題を見つけ出し、主体的かつ創造的に問題を解決していく人材が求められる社会にシフトし始めている現代。近年、学校教育の現場でPBL(Project-Based Learning)に取り組む例が増えてきています。しかし、コロナウイルスの影響により、休校を余儀なくされ、学校再開後も頻繁に顔を合わせて共に行動することが難しくなり、プロジェクトが停止・頓挫している方も多いのではないでしょうか? 本連載では小学2年生から6年生を対象に、PBLをオンラインベースで進める実践をレポートし、使用するツールやプロジェクトの進め方の成功・失敗例を提供していきます。

PBLとは何か?

 PBL(Project-Based Learning)とは、従来型の知識を学ぶ学習方法ではなく、学んだ知識・技術を自分の興味関心のある身近な社会課題の解決ができる仮説・プロダクト・システムを作ってみることで、深い学びを得る学習方法です。イノベーションや社会的変化が現代ほど急激に進んでいなかった社会では、確立した知識体系やシステムを正確に再現し、それを改善することで、より高い価値を産むことができました。しかし、今回のコロナ禍のように、未知の領域の多い、解決すべき社会課題が世界規模でいつ起きてもおかしくない現代の社会では、既存の知識体系や価値を再構築し、新たな価値や解決策を作り出すことが求められるのです。

 こうした新たな社会的な状況に対応するために、PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)が注目されています。PBLによる学習方法は世界的な動きとなっています。世界の学力到達度テスト(PISAテスト)を行なっているOECD(経済開発協力機構)の教育部会は、2030年のフレームを発表しており、PDCAサイクルを回して「価値」を産み個人や社会の「幸福」を実現するPBLの手法を推奨しています。

OECD「The future of education and skills Education 2030」の4ページ目より引用

OECD「The future of education and skills Education 2030」の4ページ目より引用

PBLが育むこれからの社会で必要とされる能力

 PBLは社会が工業社会へと変化した20世紀初頭に生まれました。T型フォードの大量生産に代表されるように、20世紀には工場製品の大量生産により生活スタイルは大きく変化しましたが、PBLの学習手法は欧米において、これらの新しい価値創出に大変貢献したわけです。スタンフォード大学を代表とする実学的な教育機関では、PBLが多用されています 。その経験値はシリコンバレーのベンチャー企業のカルチャーとなり、現在のICTによる社会変革を牽引しています。日本もこうした革命に追随・改善することで、現代に至る高い国力を維持することができたのです。

 しかし、今回のコロナ禍、東日本大震災による原発事故、自殺者の増加、幸福度の低下(世界幸福度ランキング2020で62位)などに象徴されるように、効率的なシステムに囲まれていても、必ずしも個人や社会の幸福度に寄与するとは言えない状況が生まれて来てしまっているのです。そこで始まった新たなPBLは、従来の生産性を高めるプロジェクトではなく、個人や社会の幸福度を高めるプロジェクトへと変化してきています。高校生の間で広がっているマイプロ(慶應SFC 井上研究室開発)などはその良い例です。大学入試も変化し、自分の活動の成果を提げて推薦入試・AO入試で評価する大学が増えて来ています。

 文科省はこうした社会の変化に対応するために「学力」を拡張し、①知識・技能、②思考力・判断力・表現力、③学びに向かう姿勢(主体性・多様性・協働性)と再定義し、2021年の大学入試改革・学習指導要領の改定を行い、順次改革を進めています。

 こうした新しい能力は、一言で言うと、世界を自分に引き寄せて解決する「引き寄せの法則」を身につけることだといえます。既存のシステムでは解決できない「自分の課題」を感じる力。その課題を解決するためのリソースを集める力。解決策を実際に実行する力。仲間を集め、ともに困難を乗り越えて力を活かし合う力。PBLで培われるのは、こうした「自分軸」で世界の課題を解決していく力だと言えるのです。

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PBLの可能性と大人の問題

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この記事の著者

池田 哲哉(イケダ テツヤ)

学びの道教育研究所代表・慶應義塾大学SFC研究員 小学校受験で慶應義塾幼稚舎・雙葉小学校・筑波大学附属小学校などに卒業生を輩出。小学部では6年にわたり海外でのプロジェクトベースドラーニングを行う。PBLを進めるためのInnovationPBL CANVASを開発、2018年カナダの国際カンフアレン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


前田 考歩(マエダ タカホ)

プロジェクトエディター 自動車、映画、地域活性、防災、育児、離乳食、動画、カメラなど、様々な業界と製品のプロジェクトマネジメントに携わる。プロジェクトに「編集」的方法を取り入れたプロジェクト・エディティングを提唱。VUCAな時代を切り拓く素養の育成を目的に、小学生から大学生を対象にしたPBL(Pr...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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