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くもん出版、「子どもたちが主体的に生きる力を育む」ことにもつながるプログラミング関連教材を提供

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2020/10/30 07:00

 くもん出版は10月28日、主に未就学児・小中学生を対象としたプログラミング教材に関する記者説明会を行った。

 くもん出版では現在、未就学児から取り組めるプログラミング的思考の知育教材から、ビジュアル/フィジカルプログラミングに適した「Matatalab(マタタラボ)」、テキストプログラミングに対応したワークブックと幅広い教材を展開している。

くもん出版のプログラミング関連教材(パンフレットより引用)
くもん出版のプログラミング関連教材(パンフレットより引用)

 発表会では、同社から今年2月に刊行された『学校を変えた最強のプログラミング』の著者でもある松田孝氏が登壇。テキストプログラミング用のワークブックの紹介を中心に、「なぜテキストプログラミングが重要なのか」「学校現場ではどうなっているか」という点が解説された。

合同会社MAZDA Incredible Lab CEO 松田孝氏
合同会社MAZDA Incredible Lab CEO 松田孝氏

 松田氏は、ICTを活用した教育の先進校として知られる、小金井市立前原小学校の校長を2019年3月まで務め、その後はSociety 5.0の新しい「学び」の実現を目指すシンクタンク「合同会社MAZDA Incredible Lab」を設立した。公立小学校の授業でいち早くプログラミングを取り入れたことでも知られる。

 松田氏は、プログラミングを学校で実践する必要がある理由について、教育現場の意見を聞くと、「必修化されたから」「プログラミング的思考が大事らしいから」「IT人材の育成やグローバル対応が必要だから」という声をよく聞くという。これらの必要性(ニーズ)は理解できるものの、実際に子どもたちが心の底から学びに向かうかという意味で、具体的な欲求(ウォンツ)を満たせるかというと、かなり怪しいとした。

 そもそも学校は、コロナ禍の諸対応のほか、学力保障だけでなく全人的な発達と安全・安心な居場所としての期待など、厳しい状況で、プログラミングに対するプライオリティは正直低いと松田氏は断言する。

 ただし、「学校は子どもの未来に責任を持つ教育を展開する場」「教育は子どもが主体をもって未来を生きる力を育む営み」という命題を教員自らのウォンツとして捉えると、プログラミングこそが一番大事な学びとして理解し、子どもたちと一緒に実践できるようになるのでは、とも述べた。そのために、今こそプログラミング教育の必然性・切実性を理解して教育実践をしていかなければならないとする。

 子どもたちが生きる未来はSociety 5.0、つまり従来の現実空間と、コンピュータによる仮想空間が高度に融合したシステム上に成り立つ、一人ひとりのニーズに合わせた人間中心の社会とされている。その象徴的な技術としての「コンピューター」と対話するための「プログラミング言語の習得」は、子どもたちが未来をよりよく生きるために必須のリテラシー、という考えだ。

 では、どのようにプログラミング言語を習得すればよいのだろうか。

 くもん出版が10月に刊行した『くもんのプログラミングワーク』(①と②の2冊)では、IchigoJam(イチゴジャム)と呼ばれる低額のシングルボードコンピュータを学習環境として利用している。松田氏はこの教材を、MAZDA Incredible Labの活動でも取り入れているという。

IchigoJamを開発した株式会社jig.jp 会長の福野泰介氏と、IchigoJam(右手に持っている緑色のボード)
IchigoJamを開発した株式会社jig.jp 会長の福野泰介氏と、IchigoJam(右手に持っている緑色のボード)

 慣れ親しんだタッチやマウス操作でコンピューターを扱うものではなく、黒い画面にキーボードでテキストを打ち込んでコンピューターに指示を出す「テキストプログラミング」の環境のため、松田氏も初見の際は難しいなという感想を持ったという。

 一方で、それらは大人の思い込みで、実際に子どもたちに触らせてみると、トレーニングを受けていないだけで、難なく順応することができたそうだ。中には自在にコンピューターを扱えているかのような様子を誇らしげにしていた児童もいたという。GIGAスクール構想の端末の標準仕様書にもキーボードが指定されているため、テキストプログラミングはこれからの方向性に見事にもマッチしているとした。

 また、ビジュアルプログラミングとの違いについては、よりプリミティブ(根源的)なところで会話をできるほうが、コンピューターをしっかり理解できると説明している。

 「プログラミングは現代の砂場遊び」と例えた松田氏は、プログラミングを通して、楽しみながら願いや思いを育む活動は、子どもたちに粘り強さと集中力、協働する力を与えるという。友達と学びあい、試行錯誤する場は、対象や自身に対する知的・情緒的な気づきの共有にもつながり、自己調整学習の能力を育むことに役立つと、新しい学びに対する可能性を強調した。

 他にも、IchigoJam開発者の福野泰介氏が登壇し、鯖江市の小学校で実際に行われているという、授業でIchigoJamを活用する様子のデモンストレーションが行われた。

IchigoJam(web)でテキストプログラミングを行っている様子
IchigoJam(web)でテキストプログラミングを行っている様子

 ワークブック教材の『くもんのプログラミングワーク』(①と②の2冊)は、プログラミングを初めて学ぶ子ども向けのテキストで、小学校中学年以上を対象としている。第1巻では、コンピュータの基礎やキーボード入力、基本となるコマンドを組み合わせた5行程度のプログラムで、LEDを光らせたり、音を鳴らしたりする。第2巻では、新しいコマンドや組合せ方を工夫して、より複雑なゲームの作成などにチャレンジする構成となっている。

テキストプログラミング教材の『くもんのプログラミングワーク』(写真提供:くもん出版)
テキストプログラミング教材の『くもんのプログラミングワーク』(写真提供:くもん出版)

 IchigoJamの販売は、くもん出版では行っていないが、オンラインストアや電子部品の販売店で入手できるほか、Webブラウザ上で無料で使えるIchigoJamのエミュレーター「IchigoJam web」を活用することもできる。

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