本稿はリクルートテクノロジーズのブログに掲載された内容を再編集の上、転載したものです。
VR、AR、3Dアニメーション――工夫を凝らしたデジタル教材が続々登場
大手IT企業のブースではパソコンなどのハードウェアやプラットフォームとなるソフトウェアの活用が目立ちましたが、デジタル教材のブースでは、従来の物理的な本や紙の教材ではなく、タブレットやパソコン上で閲覧、学習できるデジタルコンテンツや、VRで目の前で立体的に確認できるデジタル教材などが盛り上がっていました。
Avantis Systems
ひときわ大きく盛り上がっていたのが、Avantis Systemsが展開していた「ClassVR」という教育向けのVRヘッドセット+VRライブラリの展示です。大人から子どもまで、宇宙探索をテーマにしたVRを体験していました。
Avantis Systems 社のVRライブラリ内には、500を超える空間セットが用意されており、「ClassVR」にダウンロードすることでコンテンツの追加が可能とのこと。米国の国立水族館や動物園や火山などの自然環境を体験できる空間や、交通ルールを学習する空間などもあるのだとか。ゴーグルとQRコードキューブがセットになっていて、キューブにはその空間内に存在する3Dオブジェクトを投影することができます。例えば心臓のQRコードを使うと、360度角度を変えながら、動く心臓を見ることができます。
「Bedrock Vocabulary」
「Bedrock Vocabulary」は、イギリスのBedrock Learningという企業が提供する、クラウド型の英単語学習ソフトです。日本にも類似した英単語学習アプリがあると思いますが、このBedrock Vocabularyは、普段の生活から学校で必要とする単語をレベルに応じてカテゴライズしているのが特長。出題された単語に関連したイメージも表示されるので、例えば実際に見たことがない植物であっても、写真とともに記憶に残り、学習の効果が高まります。
私も学生時代に、前置詞「in」「on」「at」の違いを視覚的なイメージで覚えた記憶があります。文字だけの学習だけではなく、右脳に刺激を与えるような勉強は学習効果を高めることが期待できそうです。また、類義語や反対語等も提示され一緒に勉強できるので、効率が良いそうです。
学生向けのログイン画面と親・教員向けのログイン画面があり、学生はログインして勉強し、親や教員はその進捗状況をモニタリングすることができます。個々の家庭で契約するケースもあれば、学校単位で契約するケースもあるようです。
Entab
AR、VRを活用したインタラクティブ教材コンテンツを展示していたのが、インドのEntabです。会場で体験できたのは、動く心臓のVR。手元のコントローラを用いて、VR内のマークに向かってトリガーを引くと、心臓の各部位が反応する仕掛けでした。
General Onologic Soft
General Onologic Softは、教育用書籍を出版している米国の会社です。より子どもが学習しやすい、記憶に残るコンテンツを提供するため、書籍を電子化しタブレット端末などで閲覧できるプラットフォーム開発を行っています。
デジタルコンテンツでは、記事の中に出てくるキーワードに関連したBBCやナショナルジオグラフィックなどの動画や、イメージアニメーションを表示させることができます。教育向けのコンテンツアセットを大量に保有しており、展示ブースにも数多くの書籍が陳列されていました。ブースでは、電子コンテンツプラットフォームをタブレットで閲覧できたり、開発中のロボット型の閲覧端末が展示されたりしていました。
MOZAIK education
3Dやアニメーション、ビデオ動画、オーディオといった、スマートホワイトボード向けのリッチコンテンツのライブラリを提供しているのが、MOZAIK educationです。
コンテンツの数は数千にもおよび、子どもだけでなく大人でも楽しめます。立体映像で視覚と聴覚にも刺激を与えながら学習できるので、理解度が高まるのではないでしょうか。学生はパソコンなどからもコンテンツにアクセスできるので、自宅での学習にも利用できます。プラットフォームの対応言語は、現在日本語を含む33言語。世界中のマーケットを視野に入れているようです。コンテンツ量も豊富で、かつ専門的な内容も含まれており、非常に興味を持ちました。「mozaik3D」をパソコンにインストールすると、お試し版のコンテンツが利用できます。興味があればぜひ、試してみてください。
「Practically Science」
デジタル教材のブース紹介の最後となるのが、アニメーション、VRやARを活用した教育コンテンツを制作しているインドの3rdFlix社の「Practically Science」です。数学や物理教材をアニメーションやVRで分かりやすく学べるのが特長で、会場では三角形の角度の求め方や、物の落下と力学の解説、人間の骨の構造をARで理解するコンテンツのデモを行っていました。
医学部で勉強するような体の内部構造の教材や、難解な物理計算など、若干日本のカリキュラムと差があるように思いましたが、彼らは教材をインドのローカル水準ではなく、グローバルのレベルで制作しているということでした。