SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

イベントレポート(プログラミング教育)

プログラミング教育に向けての産学官の課題が見えてきた――プログラミング教育明日会議

「プログラミング教育明日会議 in 東京」レポート 前編


 8月22日、早稲田大学 西早稲田キャンパスにおいて、一般社団法人みんなのコード主催、日本最大級の教育関係者向けシンポジウム「プログラミング教育明日会議 in 東京」が開催された。セミナーや講演では、文部科学省の担当者や大学教授、小学校教諭らがそれぞれの立場で、政策の意義、研究成果、事例を発表。現場の先生だけでなく、校長先生や教育委員会の関係者なども多数参加し、活発な意見交換が行われた。2020年からの小学校におけるプログラミング教育必修化が近づく中、現在さまざまな研究や取り組みが実施されてきているが、現場で展開する際の課題や問題点が浮き彫りとなった。

プログラミング学習による成果の評価指標をつくる

 早稲田大学教授の鷲崎弘宜氏は、自身の研究室が取り組む、プログラミング教育におけるルーブリックについて発表した。

早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長/早稲田大学理工学術院基幹理工学部情報理工学科教授/国立情報学研究所客員教授/株式会社システム情報 取締役 鷲崎弘宜氏
早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長/早稲田大学理工学術院基幹理工学部情報理工学科教授/
国立情報学研究所客員教授/株式会社システム情報 取締役 鷲崎弘宜氏

 現在、プログラミング教育に利用される教材やツールは50以上存在するといわれている。それらは、テキスト言語、ビジュアル言語(ブロック言語)タンジブル(形のない情報に直接触れることができるもの)、アンプラグド、ロボット、ゲームなどに分類できる。「Minecraft: Education Edition」はゲーム型、「OSMO Coding」はタンジブル型、「アーテックロボ」はロボット型、といった具合だ。

 鷲崎氏はまず、マス目を引いた正方形のエリアをくまなく掃除するロボットのプログラムを考えるケースの例を挙げた。この場合、スタート地点からマス目をジグザグに動かすパターンと、渦巻き状に移動するパターンが考えられる。ジグザグ方式はコードが長くなる傾向があるが、アルゴリズムが単純で複雑な命令やセンサーなどが不要だ。渦巻き方式はコードを単純化できる可能性があるが(前のマスを掃除していなければ前進。境界があり前に進めない、または掃除済みならば右折、この繰り返しで済む)、実装される命令体系に依存する。掃除したかどうかの判断はマップをつくりながら進むのか、センサーを使うのか、アルゴリズムの単純さに反して実装が複雑になりやすい。

 この実装はツールの特性にもよるが、正解が決まっている問題ではない。目的や要件によって最適解は変わってくる。

マス目をすべて掃除するアルゴリズム
マス目をすべて掃除するアルゴリズム

 また、この課題では利用するツールによって、児童がどちらの解法を採用しやすいかの違いも出るという。スクラッチなど、多くのツールではジグザグ方式を選びやすく、ビスケットだと渦巻き方式を選ぶ児童が多かった。

 鷲崎氏らは、これらの傾向から分析を行い、ビスケットやスクラッチ、CodeMonkey、OSMO Codingといった各ツールの特徴や、授業で使った時の効果や児童の反応などを分類・整理した。この調査をベースに、プログラミング教育で学ぶ要素・スキルごとに、どこまで理解しているかを評価するルーブリックを表にまとめている。

鷲崎氏らが分析している、ツールごとの学習の特徴。こうした分析結果からプログラミング教育のルーブリックを作ろうとしている。
鷲崎氏らが分析している、ツールごとの学習の特徴。
こうした分析結果からプログラミング教育のルーブリックを作ろうとしている。

 この研究はまだ途中だが、プログラミング教育向けの教材やスキームの特徴・効果、理解レベルの指標は重要だ。この基準がなければ、教科学習の中でいくらプログラミング教育を実施しても、効果や成果が可視化しにくい。

次のページ
文部科学省が考える新学習指導要領

この記事は参考になりましたか?

修正履歴
イベントレポート(プログラミング教育)連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

中尾 真二(ナカオ シンジ)

フリーランスのライター、エディター。 アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


この記事をシェア

EdTechZine(エドテックジン)
https://edtechzine.jp/article/detail/346 2019/04/10 15:36

おすすめ

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング

イベント

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング