はじめに
筆者は学校法人角川ドワンゴ学園に所属し、N中等部の「21世紀型スキル学習」の授業コンテンツや各種ワークショップの制作を担当、2020年度4月に開校を控えたN中等部ネットコースの授業制作を担当している職員です。
今回、N中等部(N高等学校でも実施)のワークショップ型授業を急遽オンラインで提供することができた背景には、これまでのさまざまな方々の協力や連携がありました。経済産業省の「未来の教室」実証事業で開発している21世紀型スキルプログラム、沖縄県竹富町とNTT西日本と共同で実施した離島島しょ部の小・中学生に向けたオンライン上でのプロジェクト型学習の開発・実施など、開校以降、さまざまな地域や団体に協力をしていただき、試行錯誤ができたおかげです。関係各位には心より御礼申し上げます。
オンライン授業、まず何を準備する?
さて、本題です。今回のオンライン授業に使用した道具は2つ。パソコン(またはスマートフォン)とイヤホンです。静かな環境であればイヤホンはなくても構いません。N中等部の生徒はもともと1人1台のパソコンを所持しており、ここは問題なく用意できました。
次に「Zoom」というビデオ会議用のアプリをインストールします。インストールの方法については「Zoom」の公式Webサイト(ヘルプセンター)に詳しく書かれているので、そちらをご覧いただければと思います。
なぜオンライン授業は「Zoom」を使うといいのか
ビデオ会議用のアプリは他にもたくさんありますが、学校の授業のように40人規模の人数が同時に接続して使用するには、最大接続人数の制限や接続の安定性という物理的な制約上「Zoom」が非常に優れていると思います。マイクやイヤホンの設定も比較的簡単にでき、デジタル機器に詳しくない人でも簡単に使い始められるといった利点もあります。
また、「複数人に同時に授業を行う」という目的から見ても、
- 全員の顔を見て話せる。
- 教室でスライド投影をするイメージで、先生の画面を生徒に一括で共有できる。
- 挙手機能がある。
- 「ブレイクアウトルーム」の機能で、少人数のグループに分かれてグループワークができる。
- チャット機能があり、テキストでのコミュニケーションができる。
- 録画・録音ができる。
といったことが、学校現場でも使いやすい点として挙げられると思います。
ただし無料のプランで利用する場合、3名以上が接続すると40分で通話が切れてしまいます。多人数が参加する学校の授業の場合、有料プランの利用も視野に入れたほうがいいでしょう。
「Zoom」を使い始めるときのコツ
「Zoom」でオンライン授業を開始するには、まず、先生も生徒も、使い方を学ぶ必要があります。その際、各自でマニュアルを読んでおくよりも、実際に一緒に使ってみる方が楽しく、格段に吸収が早くなります。
N中等部では、2020年度4月のネットコース開講に向けて、のべ100人以上の中学生に向けてトライアル授業を行ってきました。当初は「Zoom」についてマニュアルを事前に読んで理解しておくように指導していました。ところが「Zoomの使い方がマニュアルを読んでもわからない」「そもそもマニュアルを読みたくない」といった理由で授業から離脱してしまう生徒がいました。授業が始まる前に生徒のやる気を削いでしまっては元も子もありません。そこで「Zoom」の使い方を解説する授業をすることにしました。それが「Zoomに慣れよう」という授業です。授業のスライドは公開しているので、ぜひご覧ください。
オンライン授業のスライド制作の際に大事にしているのは
- 1つのスライドに入れるメッセージは1つに絞る。
- スライド1枚にかける時間は30秒程度、テンポよく進める。
の2点です。生徒たちは「Zoom」でみんなの顔が見えるだけでワクワクします。その気持ちを大切にすると、授業もテンポ良く進められるはずです。